88話 さらなる目覚め。


 88話 さらなる目覚め。


(ソンキーのセンスにおんぶ抱っこで、受け流すことだけを考えて立ち回れば、どうにか時間を稼ぐぐらいは不可能ではない……というか、やる……必ず、稼ぎ切る……っ)


 覚悟をかためて、ヨグと対峙するセンキー。

 そんな彼の奥で、トウシは、



(……27通りやな……)



 命がけで膨大な暗号と向かい続けるという地獄の中で、

 コスモゾーンのシルエットを掴みはじめていた。


(大きく分ければ、そこまでパターンがあるわけやない……あとは、どの公式にあてはめるか……)


 たんたんと、計算を重ねていくトウシ。

 ありえない速度で、数字と記号が分解されていく。


(見える、見えるぞ……ワシにも暗号が見える……っ……というか……なんか、どんどん鮮明になっていく……ワシの頭、どないなってんねん……もう、自分でも、ちょっと怖ぁなってきたんやけど……)


 演算速度の暴走が止まらない。

 時間が経つにつれてクリアになる。


 とっくにたどり着いたと思っていた限界は、

 スタートラインですらなかった。


 限界を超えて、超えて、超えて、

 もっと先へ、もっともっと前へ。


(もっと深く行ける……)


 バチバチと、脳を走る電気が加速する。

 トウシの頭の中で、数千億のニューロンが複雑につながっていく。




 ――トウシは目覚めた。




 極限状態で脳を酷使し続けた結果、

 無粋な壁を超えて、

 より高次の天才性を、容赦なく発揮する。


(……見つけた……)


 ニィと黒く微笑む。

 思ったよりも、はるかに楽勝だった。


 もはや、誰もトウシを止められない。

 あまりの異次元っぷり。

 世界が置き去りにされている。


(……『プライマルプラチナスペシャル』……)


 禁域の最奥に眠っていたコード。

 トウシは、遺跡探索中の考古学者のように、

 壊れてしまわぬよう、丁寧に、丁寧に、

 その莫大な宝物を掘り起こしていく。


 手中に収めたことで気づく。


(――あ、ダメやな……)


 ギュっと奥歯をかみしめつつ、心の中で、


(これを積むには、まったく容量が足りん……ラッキー・ニルヴァーナの分を削ったらどうこうの話やなく、普通に全然足りん……これを積むには、もっと、エゲつない数値がいる……)


 そこで、トウシは、チラっと、

 ヨグに視線を向ける。


(そう、例えば……『究極超神化7』ぐらいの容量……)


 荒唐無稽な思考をしていると思いつつも、

 トウシは、その方向性で頭を回転させていく。


(……使えんもんやろうか……ワシらにも……あの変身……)


 そこで、トウシは、ソンキーとセンの可能性を模索する。


(どうやら、センエースは『真・究極超神化プラチナム』とかいう、明らかなパチモンが使えるっぽい。これを改造して強制的に進化させれば、……あ、いや、あかんな……これ、ほんまに、完全なパチモンや。まったく別系統のゴミ技……こんなもん、なんぼ改造しても意味ない……コイ〇ングとギャ〇ドスぐらいの関係性やったら、どうにかできるかもしれんけど、コ〇キングとミ〇ウぐらい違うから、どうしようもない……)

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