81話 外なる神のSAN値を削る一般人。
81話 外なる神のSAN値を削る一般人。
「貴様は普通に死にかけている。もはや、貴様に未来はない。そこまで損傷してしまえば、我ら三体を処理しきることは不可能」
「厳しいのは事実だな。けど、不可能じゃねぇ」
「不可能だ。その状態では、まともに戦えない」
そう言い切ってから、ギは、
「しかし、まさか、虫けらをかばって致命傷を負うとは。そこまで愚かだったとは想定外だった。貴様が、それほどマヌケであると知っていれば、ヤイとザリガーを呼ぶ必要はなかった。貴様は大バカ者だ」
「鬼の首を獲ったようなドヤ顔で『俺の頭の悪さ』を指摘してくれているところ悪いが、『俺がバカである』という、そんな当たり前のことに、今まで気づきもしなかった、という、自分の無様さを見つめなおせ。そうすれば、恥ずかしさのあまり自殺したくなること間違いなしだ。できれば、そのまま自殺してくれるとありがたいね。手間がはぶける」
必死に虚勢をはりながら、
センは、奥歯をかみしめて、
「理解しろよ、化け物。この程度で終わるほど、俺はぬるくねぇ。この程度で終わるようなら、とっくの昔に死んでいる。俺の軌跡を舐めない方がいい。俺はお前が想定しているよりもはるかにイカれている」
「……そうか。では、見せてもらおうか。貴様の軌跡とやらを」
そう言いながら、
ギは、まっすぐに突撃してきた。
その背中に、ヤイとザリガーも続く。
もはや、あとは詰めるだけ。
そう確信している者のムーブ。
――まだ、センから多少の反撃はくらうだろうが、こちらが削り切られることはない。
このまま数の暴力で圧殺できる。
相手の思考が、透けて見えるようだった。
極限状態の底で、
集中力がさらに研ぎ澄まされたセンは、
まっすぐに、三体のアウターゴッドを見つめながら、
「この程度じゃ、まだ足りねぇよ」
ボソっと、センは、
ニタリ笑みを浮かべつつ、
「俺を絶望させたかったら、もっと追い詰めないと話にならねぇ。スーパーセンエースやヨグシャドーにボコられた時をおもえば、この程度は想定の範囲内レベルの絶望にすぎねぇ。いや、もはや、絶望とも呼べねぇな」
などと、常人の視点では、何を言っているのかサッパリ分からない戯言を吐きながら、センは、三体のアウターゴッドと正面から向き合う。
ボロボロの状態で、
息も絶え絶えになりながら、
しかし、それでも、センは、
あろうことか、
ゾーヤたちの盾としての仕事も完璧に果たしつつ、
三体のアウターゴッドと互角にやり合う。
――戦いは終わらなかった。
――この戦いはまだ詰んでいなかった。
三体のアウターゴッドが、センを詰めて終わりのはずだったが、
しかし、センは、その現実に対し、豪快に抗った。
「き、貴様、異常すぎるぞ!」
ギは、センエースという狂気にドン引いていた。
死に掛けの虫けらが、
三体の外なる神に抗い続けるという、
この異常事態が、ギの魂魄を恐怖させた。
いつだって、神話生物の方がSAN値チェックを受けてしまう。
それが、センエースクオリティ。
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