41話 マジでいい加減にしてくれ。


 41話 マジでいい加減にしてくれ。


 これまでは、ループの一発目に、センの方から、

 『助けてくれ』とコールが入っていたので、

 『やれやれ感』を態度に示しつつも、

 内心では、エンドルフィン乱舞の優越感に浸っていた黒木。


 ――これまでは、ずっとそうだった。

 けれど、今回は、ソレがない。

 だから、黒木は、これまでと違い、グイグイくる。

 まるで、麻薬を求める中毒者のように、

 彼女は、センを手放さない。



「あらためて、正式に質問させていただきます。あなたは何者ですか?」



「何度も言わせるな。俺は、どこにでもいる、ただの男子高校生だ」


 そう言い捨ててから、

 センは、その場から、瞬間移動で逃げ出した。




 ★




「予想通り、だいぶウザい流れになったな……もう、いっそ、銀の鍵で、やり直すか……もうヨグシャドーとは決着をつけたから、普通に使えるだろうし……」


 自宅に逃げたセンは、

 ベッドにダイブして、


「ヨグシャドーがいなくなったパターンだとどうなるか見る必要があるし……いや、でも、初日だしなぁ……もったいないよなぁ……」


 根本的に、ラストエリクサー症候群であり、かつ、もったいないオバケ恐怖症でもあるセンは、基本的に、レアアイテムは、限界まで使い切らないと気が済まない。


 もちろん、現状において、銀の鍵の仕様をためらう理由は、他にもいくつかあるのだが、根本の器になっている思想は、先にあげた二つ。


「さて、どうしようかなぁ……悩むねぇ……」


 などと、ブツブツつぶやいていると、

 図虚空が、勝手に、センの前に出現して、




「――私との決着をつけたからといって、私たちを縛る特異なアリア・ギアスから解き放たれたわけではない。解禁されたわけではないのだ。今回に限り、銀の鍵は、剣翼が舞ったあとにしか使えない」




「……え、マジで……てか、なんで勝手に出てきて――」


「今回のループは、かなり特別な仕様になっている。『今回かぎりの違い』を、ボーナスステージととらえるか、ペナルティゾーンと捉えるかは貴様しだいだが……とりあえず、今回に限り、銀の鍵を自由に使える権限は失っている。タイムリープは、剣翼が舞った後にしか行えない。そのことを、ゆめゆめ忘れぬことだ」


「……」


 『銀の鍵』に制限がついたこともウザいが、

 しかし、それは、前座にすぎなかった。


 今回のループで、本当にヤバい事案は……




「ちなみに、一つ言っておく。今回に限り、あの女どもが、剣翼以外で死んだ場合、ループしても、その事実はかき消せない」




「……は?」


「あと、今回にかぎり、出現するGOOの種類も時間も場所も、全く違う。これまでと同じように行動すれば間違いは起こらない――などとタカをくくっていると、痛い目を見るぞ」


「……」


「今回のボーナスステージで出現するGOOのランクは、基本的にA級以上だと思っておいた方がいい。茶柱罪華ならば、どうにか、『多少の時間稼ぎ』が出来る程度には抗えるかもしれないが、他のメンツは、すぐに殺されるだろう」


「……」


「それでは、今回のボーナスステージ、はりきって、がんばれ」


「ぉおおおいっ! ちょまっ……おぉおおおい! いったい……いたい、いつまでだ?! いつまで、俺の人生の難易度は上がり続ける?! もう、ほんと、いいかげん、勘弁してくれぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!」

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