55話 ソンキー・ウルギ・アース。


 55話 ソンキー・ウルギ・アース。


 あっさりと死にゆくロイガー。


 その膨大な量の経験値は、

 トウシの携帯ドラゴンとソンキーに分配される。


000000000000000000000000000000000000000


 登録名 『エルメス』

 型番  『IS=GPQC/タイプJ1009‐GX2』


 《強化値》    【17%】

 《容量》     【1230】


 [HP]     【21%】

 [MP]     【33%】


 「攻撃力」    【118%】

 「魔法攻撃力」  【33%】

 「防御力」    【27%】

 「魔法防御力」  【12%】

 「敏捷性」    【63%】

 「耐性値」    【29%】


 所有スキル、超多数。


 111111111111111111111111111111111111111


 ↓(ロイガーの経験値取得後)


000000000000000000000000000000000000000


 登録名 『エルメス』

 型番  『IS=GPQC/タイプJ1009‐GX2』


 《強化値》    【1901%】

 《容量》     【152000】


 [HP]     【2700%】

 [MP]     【3200%】


 「攻撃力」    【12000%】

 「魔法攻撃力」  【3500%】

 「防御力」    【2500%】

 「魔法防御力」  【1500%】

 「敏捷性」    【7000%】

 「耐性値」    【3700%】


 所有スキル、超多数。


 111111111111111111111111111111111111111



 //大半はソンキーに分配され、残りがエルメスに分配された形//



 トウシは、

 覚醒ロイガーを瞬殺してみせた自分の両手を、

 ジっと見つめて、


「……こうもあっさりと、神様を消滅させられるとは……ちょっと、今、自分が信じられんな……」


 急に、あまりにも高次すぎる力を手に入れたトウシは、

 普通に、自分の異常さに困惑していた。


「まあ、でも……とりあえず……どうにか……ロイガーを……殺せ……た……よか……た……」


 鬼門だったロイガーを倒せたという実感と向き合ったことで、

 トウシは、急激な疲労感と眠気に襲われた。


 当たり前の話。


 人間の許容量を大幅に超えた演算は、

 トウシの脳をとことんまで疲弊させた。


 全身を包み込む疲労感は、これまでの人生で、間違いなくハイエンド。

 どうあがいても耐えられるレベルではなく、

 トウシの視界は、気付けば、グルグルまわっていて、


「……ぁ……」


 ついには、プツンと、意識が途切れてしまった。



 ★



 トウシの意識が途切れると同時、


(……眠ったか……)


 田中トウシの肉体は、

 ソンキー・ウルギ・アースによって支配される。

 権利の変更。

 まるで、スイッチのように、

 トウシが下がると、ソンキーが前に出る。


(……しかし、悲惨な肉体だ……頭脳以外は、本当に、ゴミカスだな……)


 肉体の主導権を得たソンキーは、

 その『あまりに脆い肉体』に愕然とする。


(これを、本格的に鍛えるとなると、最低でも10万年は必要だな……ソウルゲートが開いてくれるとありがたいんだが……あればっかりは完全に運だからな……)


 などと、心の中で、ぶつぶつ言っていると、

 そこで、黒木が、


「……今のあなたは、もしかして……田中トウシさんではなく……ソンキー・ウルギ・アース……ですか?」


 黒木の問いかけに対し、

 ソンキーは、コンマ数秒を置いてから、


「なぜ、そう思う?」


「雰囲気が一変したので……今のあなたは……明らかに、田中トウシさんではありません」


 見た目には何の違いもない。

 会話をしたわけでもない。

 それなのに、ほとんど確信に近い精度で、

 黒木は、彼のことをソンキーだと認識した。


「雰囲気ねぇ……」


「それと、私は……一応、あなたの作者ですから」


 そんな、強い誇りを感じさせる彼女の言葉を、

 ソンキーは、


「ははっ」


 軽く鼻で笑い飛ばしてから、


「まさか、お前は、俺の事を、『お前の妄想が具現化した姿』だと捉えているのか?」

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