最終話 濃密なハーレムエンド。


 最終話 濃密なハーレムエンド。


「……似合っているよ、多分な」


 と、ゾーヤの制服姿に対しての感想をこぼした。


 センの言葉を受けて、

 ゾーヤは、爆発しそうになるほど顔を赤くする。


 ――そんな時間を過ごしている二人を見て、

 地獄みたいな表情になった茶柱が、

 センの首にチョークをしかけていく。


「いたいたいたいたっ――はぁあ?!」


 突如、首をしめてきた茶柱を豪快に振り払いながら、

 センは、


「なにしとんだ、てめぇ!」


「頸動脈を締め上げて、脳に血が回らないようにして、確実に殺そうとしたのにゃ」


「この上なく猟奇的なことを、これでもかと丁寧に、おそろしいほど堂々と……お前、本当に、おかしいぞ? ここらで、あらためて、シッカリと伝えるけど。お前、本当に、言動が、全部、おかしいからな?」


「そんなことはどうでもいいにゃ!」


「よくねぇから言ってんだよ」


「ツミカさんというものがありながら、センセーは、いつも、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ! もう我慢の限界にゃ!」


「ハッキリと言っておく。お前が『我慢をしたこと』は、これまでの20年前後の間で一度もない。お前は常に、『その瞬間に思ったコト』と『単純にやりたいコト』を、遠慮ゼロで暴発させているだけだ」


 センは全力のクロスカウンターを決め込んでいくが、

 しかし、センのカウンターごときがツミカさんにあたるはずもなし。


 茶柱は、当然のように、センの訴えなどパーフェクトスルーで、


「ポっと手のロリババアとイチャつく暇があるなら、ツミカさんの足元にひれ伏して、足をなめながら、この世界一の美しさに対し、喝采と賛美を浴びせかけにゃさい!」


 自分の言いたいことだけを叫び続ける。


 そんな厄介な獣に、センは辟易しながらも、

 しかし、持ち前のあきらめの悪さとガッツでもって、


「周囲、見てみ? 接近してくるパパラッチはいなくなったとはいえ、学校の外では、校内を撮影しているビデオクルーとかもいるんだよ。そんな状況で、土下座しながら、お前の足を舐めたりしたら、俺の全部が終わるだろうが」


「それが狙いにゃ!」


「なんで、お前は、そんなに俺のことが嫌いなの? お前、俺に、親とか殺されてる? マジで、ちょっと一回、ちゃんと話し合おうや。俺、お前を守ったことはあるけど、お前の不利益になることはしたことないぞ?」


「だからこそにゃ! 守られたことがある、という前提があるから、この程度で済んでいるのにゃ! そうでなかったら、とっくの昔に、その腹をかっさばいて、取り出したホルモンで、二重飛びの世界記録に挑戦しているにゃ!」


「……なんか、そのセリフ、前にも、どっかで言われたことがある気がするな……」


 すでに相当しんどそうな顔をしているセンだが、

 しかし、そこからさらに、

 『茶柱とゴチャつきだしたことを不快に思ったトコ』が絡んできて、

 ついでに、黒木と紅院もブッコミを仕掛けてきて、

 ゾーヤも乗っかってくるという、

 エゲつない状況になるセン。



(……アウターゴッドは、殺せばしまいだが、こいつらは、どうあがいても止まらねぇ……)



 アウターゴッドとの死闘よりも、

 彼女たちとの生活の方が、

 遥かに暴力的なSAN値の削られ方をして、

 そろそろ発狂しそうなセン。


 センの人生は、今日も厳しい。

 彼が、フルメタル・ナイトメア・マストダイの人生難易度から逃れられる術はなし。



 ――めでたし、めでたし。


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