28話 魂魄処理機構と対話する天才。


 28話 魂魄処理機構と対話する天才。


(おっと……迎撃システムが発動してもうたか……もしかして、ワナやったんかな……いや、これは違うな……不特定パターンの異物に対する自動迎撃……反射の白血球捕食みたいなもん……なら、周囲のISL波形と同調……カメレオン化して潜伏すれば余裕でごまかせる)


 一つ壁を超えると、また別の壁が目の前に立ちふさがってくる。

 そういう、面倒なタスクをいくつかこなしていくと、


(……よし。たどり着いた……想定しとったよりも単純なシステムやったな)


 もちろん、アカシックレコードは、すさまじく複雑なシステム。


 この華美で膨大なビットのパレスを単純と評すのは、

 この世で、田中トウシにしか出来ない不可能。


(……重要な情報を総ざらい……まずは、基本ベースの情報をすべて……)


 とんでもない速度で理解と把握をつなげていくトウシ。

 その理解力と読解力は、間違いなく人外の領域。

 イカれた頭脳が、爆速で暴走する。


(領域外GISネットワークを経由するから、携帯ドラゴンにラグと制限が生まれる……それをとっぱらえば……いや、あかんな……問題は通信制限ではなく、コスト面……エネルギーの供給源が必要……『惑星のコアとつなげて無尽蔵のエネルギーを回収する手段』が記録に残っとるが、現在では、必要端末との接続が切断されとる……)


 認知の領域外レベルの情報で無限パズルをしていくトウシ。

 大事な情報と必要な情報を組み合わせて、

 自分だけのバックドアを生み出そうと必死。


(素ロイガーを殺したことによる経験値が保存されとる……これをもとにして、携帯ドラゴンを強化することは可能。魂魄処理機構にアクセスして、効率的な方法を検索……というか、なんか、『裏技的に、強化』とかできんもんか……)


 経験値の処理システムである『魂魄処理機構』の領域にアクセスすると、

 トウシは、携帯ドラゴンを強化するための、ありとあらゆる策を講じる。


(存在値を強制的にMAXまで上げる……とかは、さすがに出来そうにないな……強化するためには、絶対的にコストが必須。素ロイガーの経験値は微妙やから、そこまで大幅に強化はできん……いちおう、『異次元砲』とかいう強力な魔法を獲得できそうやけど……これ一つで、覚醒ロイガーを殺せるとは思えんなぁ……)


 軽く強化しつつ、


(なんやったら、魂魄処理機構の中枢までもぐりこんで、システムを改竄(かいざん)したろうかなぁ……できるかなぁ……)


 かるく試してみたところ、


(さすがに、壁が硬すぎるか……まあ、そら、そうやろうなぁ……)


 どうにか解析できないか奮闘してみたが、

 突破することは出来なかった。

 ただ、その過程で、いくつかの有益な情報を奪取することに成功。

 ただでは転ばない。


(……どうやら、時空ヶ丘にはかなり強力な『龍脈』が流れとるっぽいな……ココとアクセスさせるだけなら、どうにか可能っぽい……ん、オッケー。いけた。まあ、あまり、リンクしすぎると、発狂する可能性があるから、無茶はできんけど……適切な範囲に抑えれば……うん、これで、だいぶ強化できる……とはいえ、この程度じゃ、とてもやないけど、アウターゴッドに勝てるレベルではないな……もっといる……もっと……)

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