41話 極度の肉体的負荷。
41話 極度の肉体的負荷。
「…………はぁ……はぁ……」
ついに、息が切れてきたセン
なんというか、もう、すでに、虫の息といった様子。
「顔色が悪いが、大丈夫か? 体を壊す前に棄権した方がいいと思うぞ」
純粋な親切心でもって、
Cマッチョは、センに対して、優しく、
「漂流者ということは、ちゃんとした保険には入っていないんだろ? 漂流者保険は、事件や事故や災害に対しての保証は手厚いが、『勝手に無茶をして受けた傷』だと、いっさい支払われないぞ。天上が管理している保険は、そういうところ、めちゃくちゃ厳格だからな」
「はぁ、はぁ……回復は……メディック担当の……強力な魔法があるから……問題ない……はぁ……はぁ……」
「……お前、第一アルファからの漂流者だよな? その『メディック担当』というのが、もし、同郷の漂流者なら、魔法は使えないんじゃ……」
「携帯ドラゴンの……はぁ……魔法……ぜぇ……はぁ……」
「携帯ドラゴン? 第一アルファにも、携帯ドラゴンがあるのか?」
「ぜぇ、はぁ……一応な……ぜぇ、はぁ……ぶふぉ……ぶふぉぉ……」
「携帯ドラゴンは、かつて、ゼノリカが、『原初の世界』に『大遠征』をかけた時に獲得した報酬の一つ……なぜ、それが、第一アルファに……ああ、そういえば、一部の第一アルファ人の手に携帯ドラゴンが渡った……みたいな話も、どこかで聞いたことがあったような……あれ、この話、どこで聞いたんだっけ――」
と、そこで、
「はい、ここまで。倒れている人はいますか? いたら、もちろん、その場で失格ですよ? いませんね? まあ、バロール杯に出ようと決意するほどの強者の中に、この程度でへたる者なんているわけありませんね。そこまで空気の読めないバカは、もちろん、いないでしょう」
魔法が終わり、重りのようにのしかかっていた疲労感がゆっくりと溶けていく。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
フラつきながら、
しかし、どうにか、倒れないよう、自分を支えるセン。
あまりの疲労感で、頭の中はまっしろ。
まともにモノを考えられる状態ではない。
そんなセンを横目に、
Cマッチョは、
「……それほど脆弱な肉体で、よく耐えられたな。……ま、しかし、言うまでもないが、あの程度の魔法で満身創痍になっているのは、今のところ、お前だけだぞ」
「……はぁ……はぁ……はぁ……」
「ここはお前がいていい場所じゃない。今のうちに帰った方がいい」
そんなCマッチョの発言に対し、
センは、
(うっせぇ、ぼけ……帰りてぇから、ここにいるんだ……)
心の中で吐き捨てながら、
必死に息を整える。
(……図虚空の精神的負荷(限界突破)と比べれば、この程度……)
比べればマシ――かと思ったが、
しかし、
(ああ、いや……ま、でも、こっちも、普通にキツいな……『精神のキツさ』だけなら、その場で耐えて終わりだが……こう、体を酷使させられると……普通に動かねぇ……体が、吐くほど重てぇ……)
精神的負荷の場合、その場かぎりみたいなところがあるが、
肉体的負荷の場合、のちのちまで疲労が残り続ける。
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