3話 フィーバータイム。


 3話 フィーバータイム。


「まあ、ぶっちゃけ、アウターゴッドと殺し合う時には、GOOなんか、何百体単位で使用しても、一瞬で消し炭にされるだろうから無意味なんだがな」


 対アウターゴッドのコマとしては、

 あまりにも心もとない。


 アウターゴッドを眷属にできれば、

 だいぶ戦力アップになりそうだが、


(捕食できるほど弱らせられないのが問題なんだよなぁ。仮に、眷属に出来たとしても、コスト的な問題で処理落ちが酷そう。いや、アウターゴッドを眷属にできるぐらい強くなっているなら、容量も増えているだろうから、その辺は、そこまで問題にはならないかな……どうだろう……今の段階だと、ちょっとわからんなぁ)


 などと、心の中でつぶやいていると、

 図虚空の中にいるヨグシャドーが、

 テレパシーで接続してきて、


(ぱららぱーぱーぱー、ぱっぱらー)


(……は? どうした? ついに狂ったか? いや、もともと狂ってはいるが)


(ディグラを倒した経験値を得て、クティーラはレベルアップした。存在値が上がった。スキルレベルが上がった。魅力が上がった。切なさが上がった。虚無感が上がった)


(……最後の二つは、報告いらんなぁ)


 などと、軽くノリで返してから、


(ヨグシャドー、一つ聞くが、今の発言は、レベルネタをぶっこんできただけか? それとも、マジで、クティーラのレベルが上がったのか?)


(なぜ、私が、貴様ごときに嘘をつかなければいけない?)


(質問を質問で返すなよ。知能指数が低く見えるぞ)


 センは、ため息交じりにそう言ってから、


(つぅか、お前は、俺を認めているのか、それとも見下しているのか、どっちだ?)


(今のところ、8:2で見下している方が勝っている)


(……正直だねぇ)


(貴様に可能性を感じてはいるが、しかし、貴様の可能性が成就するか否かは、これからの貴様の行動しだい。私は、図虚空の中で、ずっと、貴様を監視している。もし、貴様の可能性が潰(つい)えたら、私は、貴様を見放す)


(ずっと監視されているのダルいなぁ……できれば、俺に愛想をつかして、どっかいってくれねぇかなぁ。どうせ、図虚空の中にいたところで、サーチ範囲17ミリ分の効果しかないんだし……)


(ふむ。なるほど。その態度が、俗に言う『ツンデレ』というやつか)


(いや、違う。これは、純粋な拒絶反応だ。ツンデレとガチ拒絶を勘違いした先に待っているのは身の破滅だから気をつけろ)


 『頭の中でのヨグシャドーとの会話』に神経をすり減らしていると、

 そこで、黒木が、


「疲れた顔をしていますが、大丈夫ですか?」


 と声をかけてきた。

 センは、渋い顔で、


「問題ない。俺は生まれてこの方、疲れたことがない」


「え、本当ですか?」


 目を丸くする黒木に対し、

 センは、


「……ウソに決まってんだろ」


 辟易した顔で、ボソっとそう言った。



 ★



 結婚騒動に、ディグラの襲来など、

 いくつか、厄介事はあったが、

 それ以降のアイテム探索に置いて、

 面倒事が発生することはなかった。


 それどころか、



「おぉ! また、超レアアイテムじゃねぇか! いったい、どうなってんだ! 今宵は完全にフィーバータイムだな!!」



 まるで、これまでの不幸を清算するかのように、

 すさまじく上昇率の高いレアパーツが、

 次々と発見された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る