2話 処理落ち。


 2話 処理落ち。


「我が野望の贄になれる幸福をかみしめながら死ねぇ!」


 そう叫びながら、トコに攻撃をしかけたディグラに、


「やかましいぃいい!」


 豪快なカウンターを決め込んでいくクティーラ。


 シッカリと返り討ちにあって、

 さっそく死に掛けているディグラは、

 殴られて破損した箇所をさすりながら、


「く、クティーラ様……っ……えっ……」


 最上位格のGOOであるクティーラの姿を目の当たりにして、

 バチバチに狼狽するディグラ。


 クティーラは、アワアワしているディグラの胸倉をつかみ、


「この! あたしですら! 届かなかった世界に! 貴様の! ような! カスが! たどりつけるわけ! ないだろぉお! ボケがぁ! 即座に死んで!! すぐにぃい!!」


 ストレスをぶつけるように、

 何度も何度も、殴りつけるクティーラ。


 3回殴ったぐらいのタイミングで、

 すでに、ディグラは気絶していたが、

 しかし、クティーラは、

 合計50回ほど、ディグラを殴りつけた。

 ギリギリ死んでいないが、死んだも同然の状態。


「ふう! いい感じの硬さだったから、ちょっとだけスッキリ!」


 笑顔を浮かべてそう言うと、クティーラは、

 ディグラを雑に放り投げて、

 トコの影に帰っていった。


 クティーラが遺したボロ雑巾を眺めながら、

 センは、


「んー……まあ、コレはいらんかなぁ……んー、まあ、でも、経験値としても微妙だし、何かで使うかもしれんから、一応、眷属にしておくか」


 そうつぶやきつつ、

 図虚空に、ディグラを食べさせる。


 モグモグと咀嚼して、ペっと吐き出されると、

 ディグラは、指輪っぽくデフォルメされて、

 ダイアモンドスラ〇ムのような形状になった。


 その様子を見ていた黒木が、

 センに、


「このような『眷属』というのは、作ろうと思えば、無限に作れるのですか? それとも制限があるのでしょうか?」


「無限と言えば無限だが……そうじゃないといえば、そうじゃない」


「どういう意味なのでしょうか?」


「眷属を増やすたびに、俺の魂魄は重くなる。ゲームで敵キャラが大量に沸いた時、処理落ちすることがあるだろ? あのイメージだ。無駄に増やしすぎると、重くなって処理落ちする。とはいえ、まだまだ容量的には余裕があるから、ある程度の強さを持ったGOOは、とりあえず眷属にしていく予定だがな。このディグラは、クティーラと比べればカスだが、GOOの中では、別に弱いわけじゃない。中の上の中ってとこかな。眷属にしておいて損があるかといえば、今のところは、そうでもない」


 召喚でも、重さによる処理落ちの概念は存在するが、

 眷属の方が、そのデメリットが少々多い感じ。


 とはいえ、センの器は、

 これまでに多くの絶望を積んできたおかげで、

 結構な大容量になっているため、

 GOOをあと何体か眷属にしても、そこまで問題はない。


「まあ、ぶっちゃけ、アウターゴッドと殺し合う時には、GOOなんか、何百体単位で使用しても、一瞬で消し炭にされるだろうから無意味なんだがな」


 対アウターゴッドのコマとしては、

 あまりにも心もとない。


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