2話 永遠を刻む緋色の契約。咲き誇る絢爛。
2話 永遠を刻む緋色の契約。咲き誇る絢爛。
「……なぜ、貴様のようなカスをハッピーにさせるために、私が笑みを浮かばなければいけない? キショすぎて吐きそうだ。おぞましい。ヘドで溺れそう」
「ぎひひへへへ! 気が強いねぇ。そういうところも、嫌いじゃないぜ。俺の趣味にあっている! お前は俺の女にふさわしい」
「貴様にふさわしい女など存在しない。孤独死だけが、貴様の未来に待っているたった一つの絶望(ゴール)だ」
「ツンが強いねぇ。悪くない。『デレなど不要』とは言わないが、しかし、デレってヤツは、濃すぎると胸やけする。ベタベタと甘えられるより、『あだちマンガ』みたいに、『一定の距離感を常に保つ関係』の方が、個人的には好みなんだよね」
などと、クソどうでもいいことを言いながら、
全力でオーラを練り上げていく。
しっかりと、自身を高めてから、
シッカリと見得を切って、
「俺はセンエース。最強の化け物だ。……てめぇは?」
問われて、彼女は、
少しだけ逡巡(しゅんじゅん)した。
カス相手に、どう名乗るべきか、少しだけ悩む。
『貴様のようなカスに名乗る名前は持ち合わせていない』と切り捨てようかとも考えたのだが、しかし、
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「この上なく尊き神の右腕。永遠を刻む緋色の契約。咲き誇る絢爛セン・アダム」
堂々と、そう言い切った。
その名乗りに込められている『想い』がヒシヒシと伝わってくる。
「セン……アダム……ねぇ。ほむほむ」
ニタニタと笑いながら、
「俺の女にしてやろう、光栄に思え――と言ってやるつもりだったんだが、まさか、『口説かれる前に婚姻を済ませていくストロングスタイル』を決め込んでくるとは……いやはや、驚かされたね。おそろしく速いブーケトス、さすがの俺でも見逃しちゃったね」
そんなセンの発言を受けて、
アダムは、ゴミを見る目で、
「……好きなだけ、好きなことをほざけばいいさ。誰も、パチモンの話など聞いていないが」
「パチモンって呼ぶなよ。俺の名前はセンエースだって、ちゃんと名乗っただろ。俺自身をナメたり侮ったりするのは、まだ見逃せるが、しかし、俺をニセモノ呼ばわりするのだけはいただけねぇなぁ。俺は、正真正銘、俺自身であり、断じて、何かの複写や模造なんかじゃねぇ」
「貴様がそう思うのならそうなのだろう。貴様の中ではな」
「クールにテンプレをかましてくれるじゃねぇか」
などと、反応しつつ、
センは心の中で、
(……異世界人の分際で、普通にテンプレを使ってきやがった……『フレーズが偶然かぶっただけ』という線もなくはないが……もし、偶然ではなかったとしたら、『誰かの影響を受けた』と考えるのが妥当。……『日常的にテンプレを使いこなしている日本人』が近くにいたからこそ受けた影響……そう考えるとシックリくる……)
自制心は壊れたが、
しかし、『知性』の部分はまだ壊れていないようで、
(この女が言う『主上様』ってのは、おそらく、この世界の神『センエース』……結婚してんのか、名前をもらっただけなのかは知らんけど、とにかく、何かしら深い関係ではあるんだろう……)
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