1話 A型センエースは自由になる。


 1話 A型センエースは自由になる。


 ケタ違いの異次元砲でセンを抹殺した『彼女』は、


「……どうせ、これで終わりはしないのだろう? 貴様らパチモンの鬱陶しさなら知っている。カス以下のパチモンとはいえ、モデルが『主上様』ともなれば、そのスペックは、どうしても、破格になる……そんなことは、知っている。だから、油断はしない。徹底的に殺す。殺して、殺して、殺して……それでも足りないなら、また殺す。完璧完全に消滅し切るまで、徹底的に、決定的に、殺し尽くしてやる」


 ピリついた雰囲気で、

 視線をさまよわせる。


 そんな彼女の視線の先で、

 チリチリと、粒子がまたたいた。

 跡形もなくバラバラになったセンの『影』たちが、

 ミチミチと音をたてて、また一つに戻ろうとしている。


 その空気感を肌で感じたアダムは、

 『でしょうね』とでも言いた気な顔で、

 軽く、首と肩をまわしながら、



「……ほら、きた……絶対に、くると思っていた。貴様ら、パチモンが、そう簡単に死ぬわけがないと、私は知っていた」




 そう言いながら、オーラを練り上げていく。


 『A型センエース1001号』を確実に排除するため、

 いっさいの油断を排除した『完全集中モード』に移行する。



「無限転生・改か? それとも、無限蘇生・改か? どんなクソチートをもっているか知らんが……なにを持っていようと、関係なく……徹底的に殺しきってやる」



 覚悟を口にする。

 そんな彼女の視線の先で、

 チリチリとまたたいていた粒子の影たちが、

 グググっと、寄り集まって、

 しだいに、人型のシルエットを創り出していく。


 ほんの数秒で、

 そのシルエットは、

 質量を持った命へと変換されていく。


「……ぷはぁ」


 そこに現れたのは、

 完全に目がイってしまったセンエース。


 センは、自分の胸部に手をあてて、


「……消えている……」


 ボソっと、そうつぶやいた。

 そして、ギニィと、強めの歪んだ笑みを浮かべて、


「生まれた瞬間から、ずっと、俺の全部を縛っていた、鬱陶しい『しがらみ』が……今、死んだ……は、はは……やった……やったぞ……やった……よっ、よっしゃぁあああああああ!」


 歓喜の叫び声をあげるセン。

 両手の拳を掲げて、天を仰ぎ、

 全力で、心からの喜びを表現する。


「……ぐ、ぐひひ……感謝するぜ……おかげで、リミッターが完全にぶっ壊れた。壊してくれて……ありがとう……ぎひひ」


「主上様に似た顔で、気色の悪い笑みを浮かべるな、クソが。不敬きわまりない」


「おいおい、そんなゴミを見るような目はやめろよ。せっかくの美人が台無しだ。スマイルでいこうぜ、スマイルで。俺は、お前の笑顔が見たいなぁ。お前の笑顔を見ると、きっと、俺は、ハッピーになれる……そんな気がする」


「……なぜ、貴様のようなカスをハッピーにさせるために、私が笑みを浮かべなければいけない? まったく道理が通っていない。キショすぎて吐きそうだ。おぞましい。ヘドで溺れそう」


「ぎひひへへへ! 気が強いねぇ。そういうところも、嫌いじゃないぜ。俺の趣味にあっている! お前は俺の女にふさわしい」


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