5話 『100兆』VS『6000』。
5話 『100兆』VS『6000』。
「どうせ、奇妙な覚醒で、無駄に強くなっていくのだろう? もうネタは割れている」
「なんで、あんたは、俺の底力を、そんな、無駄に過信してんの? 過剰評価も甚だしいんだよ。つぅか、きわめて実直な前提の話をするけど……あんたの強さレベルは『100兆』を超えてんだろ? じゃあ、無理じゃん。俺の強さレベルは6000なんだよ」
センは、情けない顔で、
自分が、いかに『アダムより弱いか』を懇々(こんこん)と語る。
「確かに、一応、『数千万』級を相手に、色々できるぐらいの『謎な底力』はあるみたいだけど、でも、まあ、さすがに、その辺が限界だ。というか、数千万級をどうにか出来ただけでも、大絶賛してほしいレベル」
センは、ぐだぐだと、
「いくらなんでも、100兆はムリムリ。1億って言われても普通に厳しいんだよ、実際。どうだろうな……まあ、『10億』って言われた時点で、完全に、お手上げかな。そういうレベルが今の俺なんだよ。なのに、100兆? 何段階、飛ばしてんだよ。はしゃぎすぎだろ。もっと段階を踏んでこい。現状を、初代ポ〇モンでたとえると、3個目ぐらいのジムで、何をトチ狂ったか、『努力値を全振りしたレベル100のミュ〇ツー』を繰り出してきた、みたいなもんだぞ。こっちは、まだレベル19のコイキングぐらいしか持ってないのに、バカか! このクソゲー、あまりにもクソゲーが過ぎる。勝てるわけねぇ! というわけで、あんたは強い。了解! あんたが大将! 普通に降参! 全力で、まいった! まいりました、ははぁああああ!」
全力で降参を宣言していく。
しかし、アダムは、そんなセリフに耳を貸すことなく、
「――で?」
「で、じゃねぇんだよ! 続きは存在しない! もう話は終わってんだよ!」
叫んでから、センは、
「アダム。おめぇの強さはよぉく分かった。オラはもうやめとく」
さわやかな顔で、そう宣言する。
ギャグ風のテイストでお届けしているものの、
その実、ガチの全力降参。
なぜなら、勝てるわけがないから。
アダムは、あまりにも強すぎる。
ギャグ風の色合いに仕上げているのも、
『余裕があるから』ではなく、
必死に、オチャラケて見せることで、
『私は脅威ではない』
と、ガムシャラにアピールしているだけの話。
が、そんなセンの想いは伝わらない。
「……油断を誘っているなら無駄だ。今も、ここからも、私は、貴様の一挙手一投足から目を離さない」
「一度でいいから目を閉じてみろ。何も変わらないということが分かるから。あんたの前だと、俺は何もできない。ぶっちゃけ、そのぐらい、もうわかっているだろ? もう、降参だっつってんの。勝てないから。無理だから」
必死の形相で、敗北宣言を繰り返すセン。
「てか、勝てんだろうが、普通にぃ! ちゃんと、冷静に、現状を目視しろ! 俺がお前に勝てる道理がどこにある! 俺の弱さをナメんなよ! いや、俺が弱いんじゃねぇ! 俺はそこそこ強い! けど、相手にならない! ようするに、単純に、あんたが強すぎる!! というわけで、ご勘弁を! アダム様! この世で最も美しい女神様!」
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