36話 11999倍。
36話 11999倍。
(正直、まさか、ここまでかかるとは思っていなかった……あの女どもの、貴様に対する情の深さがうかがえたな)
「ああ、でも、今では、ちょっと話しかけるだけでも、ゴキブリを見るような目を向けられるようになった。いやぁ、成長したなぁ」
などと、壊れたことを『壊れた顔』で言ってから、
「まあ、でも、マックスで『11999倍』にしかならないんだけどなぁ……なんか、最後の最後で、ハンパな数字が残るんだよなぁ……気持ち悪いわぁ、こういうの……レベル98で止まっているみたいな、この感じ、ダルいわぁ……」
(……『最後の最後で、あの女どもの、貴様に対する記憶の残滓が消え切っていない』ということだろうな。これは、本当に珍しいことだぞ。普通、感謝や恩、あるいは愛などという情は『それを上回る悪意』を向けられた瞬間に塗り替えられ、より強い憎悪に変換されるもの。しかし、あの女どもは、貴様に、とことんまで踏みにじられていながら、しかし、心の芯に、貴様への情を残している)
「……厄介な話だよ……本当に」
ゴチャ混ぜになった感情の中で、
センは、ボソっとそうつぶやく。
『11999倍』というハンパな数字を気持ち悪く感じ、
できれば、マックスである『12000倍』になってほしい、
という気持ちも、彼の本音の一つなのだが、
しかし、同時に、
『100%嫌わなくてホっとしている』という、
当たり前の感情も持ち合わせているため、
現状のような、あやふやな表情で斜め下を見つめている。
「倍率の方の気持ち悪さもそうだが……バギーのブレイクスルーも、全然、おきねぇんだよなぁ……これ、本当に、カンストを超えるのか?」
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登録名 『バギー(仮)』
型番 『IS=GPQC/タイプE10‐PT198』
《強化値》 【99999%】
《容量》 【9999999】
[HP] 【99999%】
[MP] 【99999%】
「攻撃力」 【99999%】
「魔法攻撃力」 【99999%】
「防御力」 【99999%】
「魔法防御力」 【99999%】
「敏捷性」 【99999%】
「耐性値」 【99999%】
所有スキル、超々多数。
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『バギーの強化値』は『最初の数年でカンスト』して以降、
一ミリも伸びることなく、ひたすら行儀よく9を並べているだけ。
ヨグシャドーから、
『頑張れば、カンストの壁を超えられる』
と聞いていたので、壁を超えるために、
ずっと、努力を続けてきたが、
「もう、5000年ぐらい、ずーっと、11999倍でアウターゴッド級の経験値を積んできたのに、一ミリも変わらないとか、ほんと、もう……まさか、12000倍に到達しないと、絶対にブレイクスルーできないとか言わないよな?」
(それはない。その数字は、あくまでも倍率でしかなく、特別な達成条件の一つというわけではない)
「じゃあ、なんでだよ……なんで、この壁を超えられない?」
(単純に、積み重ねたものが足りない)
「……これほどまで頑張ってきた俺に、よく、そんな心ないセリフが言えるな。積み重ねたものが足りない? 誰にモノを言うとんねん」
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