47話 もちろん、『解放(リリース)』してやるさ。


 47話 もちろん、『解放(リリース)』してやるさ。


「土下座をしないといけないのはお前だ。俺の顔面偏差値が50を下回っているのは認めるが、しかし、さすがに、奇面組でセンターを張れるほどの奇天烈なコミカルさは有してねぇ」


「そっかー、土下座しないといけないのはツミカさんの方かー、それもそうかもにゃー」


 悪い笑顔でそう言うと、


「土下座するだけだと悪いから、ついでに靴もナメさせてもらうにゃ」


 などと言いながら、センの足元に這いつくばろうとする。

 その様を見て、センは、心底ダルそうな顔で、


「やめろ、やめろ、ぼけが! 美少女に土下座させてクツを舐めさせるとか、俺の社会性が死ぬ!」


「センセーの社会性を殺すためなら土下座も辞さない。それが、ツミカさんのプライドにゃ!」


「情緒の錯綜ぶりが込み入りすぎていて、もはや、何を言っているか分かんねぇよ。あと、お前、今、『俺が止めたから、土下座していない』ってワケじゃないなく、止めなかったとしても、やるフリだけにとどめて、絶対に土下座を実行したりはしてなかっただろ。お前のプライドは異常だから」


「ずいぶんと、分かったようなクチをきいてくれるにゃぁ」


「お前を理解することは出来ない。お前は過剰に異常だから。しかし、理解しようと努力したことはある。だから、何も知らないわけじゃない」


「……」


「つぅか、いいかげん、お客さんを無視して、しゃべりすぎだな」


 そうつぶやくと、

 センは、ガタノトーアに睨みをきかせ、


「悪かったな。『殺気だけで牽制する』ような雑なマネで放置プレイしたりして。これから、ちゃんと相手するから許してくれよ。いや、別に許さなくてもいいけど。GOOごときの許しなんざ別に欲しくねぇから。お前がアウターゴッドだったら、ジャンピング土下座からのエターナル土下寝のコンボをかましていくところだが、GOO程度じゃあ……ははん」


 などと鼻で笑いつつ、

 センは、美少女たちの前に立ち、

 軽く肩をまわして、


「潰す前に、何個か質問させてもらう。答えたくなかったら無視していいよ。別に、お前の知識に、そこまで期待はしてないから」


 と、前を置いてから、


「問い一、お前が、今、ここにいるのは、お前の意志か?」


「……そ、それに答えたら……見逃してくれるか?」


 おびえながら、そんなことを口にするガタノトーアに、


「ああ、もちろん、協力的な態度で接してくれるのであれば、慈悲の心でもって、お前を『解放』してやるさ。俺は優しいからな。『狂気のお人よしが服を着て歩いているようだ』と、どこかの誰かに言われたことがある気がするほどだ」


 などと、かなりフワフワしたことを口にするセン。

 その笑顔を信じたワケではないが、

 『望みはある』と認識したようで、

 ガタノトーアは、


「私の意志と言えば、私の意志だ……が、主導権が私にあったかと言えば、それは否」


「ほーほー、なるほど。で、その心は?」


「私を導いたのが、どこの神かは知らない。しかし、私は、契約した。『そこの女どもを殺せばアウターゴッドになれる』という神の契約」


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