48話 リリース&キャッチ。


 48話 リリース&キャッチ。


「私を導いたのが、どこの神かは知らない。しかし、私は、契約した。『そこの女どもを殺せばアウターゴッドになれる』という神の契約」


「どこの誰とも知らんヤツと契約を交わすとか、お前、ヤバいな。危機感、どうなってんだ?」


「契約相手はアウターゴッドだ。外なる神はGOOごときに嘘をついたりしない。わざわざ、そんな『くだらない汚点』を背負ったりはしない。そんな必要性など皆無だと断言できるほどの高みに在る。それがアウターゴッド」


「世界的大企業が詐欺商品を取り扱うわけがない、みたいな感じの信頼だな。そういう『ブランドに対する盲目の信頼』みたいなのは、たまに裏切られることもあるから気をつけた方がいいんだが……まあ、そこのところの話は別にいいや」


 そこで、コホンとセキをして、


「問い二、お前みたいなカスが、他に何体いる? そのウザ契約をかわしたのが、お前ひとりじゃないことは見当がついている。本当に厄介な話。死ねばいいのに。――で、何体いる?」


「知るわけがない。他のGOOとは大して関わり合いがない。まさか、他にも、私と同じような契約を交わした者がいるとは……」


「なるほど、てめぇ、ぼっちか。親近感がわくじゃないか。……ぼっちはいいよなぁ。自由で、豊かで、静かで」


 などと、軽く遠い目をしてから、


「問三、通常、お前らみたいな神話生物は、『夜しか沸くことが出来ない』……と、そういう風に認識しているんだが、それは間違いだったのか?」


 そこで、ガタノトーアは、

 地面に目線を向けて、

 少しだけ目を閉じた。


 数秒後、スっと目を開くと、


「……この地の龍脈は、夜の方が活発になるようだ。昼は、比較的安定しているが、夜になると、かなり不安定かつ流動的かつ活動的になる。通常のルートを経るのであれば、『太陽の監視がなくなる時間』しか繋がりを持てないだろう。だが、私の場合は、ルートを用意されていたから、龍脈の状態など関係なく、こちらの世界とかかわりを持てた」


「何も知らないんだろうなぁ、と思っていたが、案外、けっこう教えてくれたな。助かったぜ」


「なら、見逃してくれるか?」


「ああ、解放してやるよ」


 そう言うと、センは、

 腰を落として、



「――恐怖からな」



 冷たい声で言い捨ててから、

 センは、無慈悲な一閃を放った。


 アッサリと真っ二つにされたガタノトーアは、

 怒りのこもった目で、センを睨みつけ、


「……て、てめぇ……」


 恨み節を吐こうとしたその顔面を、

 センはグシャリと踏み潰す。


 ――それでも、まだ死んでいないあたり、GOOの生命力の高さがうかがえる。


「手前勝手に、自分の欲望を暴走させたバカは、より上位の暴力にボコられる、というのが世の常。テメェの罪を数えろ。そうすりゃ、あるていど、納得できるはずだ」


 などとそうつぶやいてから、

 センは、図虚空に、ガタノトーアの体を食べさせる。


 そして、


「眷属システム、起動」



 前回のループで手に入れた拡張機能を発動させる。


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