83話 強すぎるセンエース。


 83話 強すぎるセンエース。


(私のフルゼタに拮抗するほどの魔力……とんでもないバケモノっ)


「俺の異次元砲で貫通できねぇとは、やべぇエネルギーだな、おい!」


 両者とも、互いが『異次元にヤバい存在である』と、

 あらためて認識する。


(ぅっ……『私の魔力』を大量に注ぎ込んだフルゼタが……押されている……食い破られる……とんでもない貫通力……っ……やばい……)


 冷や汗を流す『主』のトイメンで、

 センは、


「だいぶ重たい照射だなっ。あんたの底力がうかがえる。あんたは、間違いなくアウターゴッド級だ!」


 『主』のフェイクオーラも、なかなか質が高いため、

 具体的に、どのぐらいの強さなのか、正確にはかるのは難しい。


 だが、『強大』であることは、完全に理解できた。

 だから、センは、


「底を見せてもらうぞ! あんたは、どのぐらい、強い?!」


 そう叫びながら、

 照射の撃ち合いを放棄する。


 もう少しで、『主』のフルゼタを突破できるのは、センにも分かっていた。

 だが、すでに、『主』は、回避の姿勢を整えていたので、

 撃ち合いに競り勝っても無意味だと判断した。


 それだけではなく、高速で、無数の『読み』を展開させる。

 頭の中が『武の選択肢』でパンパンになる。


 磨き抜かれたセンの戦闘力がうなりをあげる。

 結果、『主』は、冷や汗に包まれた。



(た、退路をコントロールされたっ……この男、とんでもない戦闘力っ……っ! 体術でのカウンターは……無意味っ……届かないっ……この化け物は、私よりも常に三手はやい……っ……)



 瞬時に『主』との物理的距離をつめるセン。


 ――『懐に飛び込まれた』と理解した瞬間、

 『主』は、



「――ぐっ……げ、『迎撃天陣ランク1500』――」



 領域系の魔法で迎え撃つ。

 接近してきた敵に対して、

 自動で、適切なカウンターを放つ固有領域。

 ポ〇モンでいうところのステルスロック的な技。


 だが、そんなもの、


「おいおい、その一手は、ぬるすぎないか?! 俺視点では、事実上のパスみたいなもんだぞ!」


 迎撃天陣のカウンターを、極めてあざやかに緊急回避しつつ、

 センは、


「神速閃拳」


 予備動作がほとんどない神速の閃拳を叩き込む。


 火力は少々モノ足りないが、

 牽制技としては非常に有用な神の一手。


「がはぁっっ!」


 顔面に神速閃拳をぶちこまれて、

 盛大に吐血する『主』。


 そのまま勢いよく、その場に倒れこみ、


「ぅ……げほっ……」


 動かなくなる。

 ピクピクはしているが、立ち上がるのは難しそう。


 そんな彼女に、

 センは、虫けらを見るような冷たい目を向けて、


「おいおい、挨拶のジャブ一発でダウンとか、冗談だろ?」


 そんなセンの言葉を完全にシカトして、

 主は、倒れたまま、



「……こ……この凶悪な強敵を、『化身(アバターラ)』で討伐するのは不可能。『本体』の出動を要請する」



 ブツブツと、


「……天使軍は……まだ動かす必要はない……というか、この敵には無意味。まだ『指揮官』が『不在』の現状で、天使軍を使ったとしても、一掃されるだけ……とにかく、本体の出動を! 急げ!」

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