49話 さあ、気合を入れていこうか。


 49話 さあ、気合を入れていこうか。


 ――銀の鍵は、もうすでに、枯渇していた。

 ここ1000年ぐらい、ずっと、

 一応、探してはいたのだが、

 しかし、一本たりとも見つからなかった。


 その事実に対して、安堵感と不安感の二つを抱えたセン。

 その二つの感情とは、この1000年で、だいぶ折り合いをつけ、

 今では、まあまあフラットになってきている。


「銀の鍵は残り二つ……ここまできたら、最後まで使い切る構えでいくか……いったん、次の周で、クトゥルフをロケハンして、その次の周で、しっかりと対策を決め込んだ上で、クトゥルフをボコボコにする」


 未来を決めると、

 センは、学校に帰って、

 一応、銀の鍵を捜索する。


 すでに、じゅうぶん、休息はとれているので、休む必要はなし。

 万が一にそなえて、『一個だけでも見つからないか』と探してみたが、


「……やっぱ、ねぇか……」


 ある程度探したところで、センは、


「泣いても笑っても、あと二回しか飛べねぇ……」


 そぅつぶやきながら、

 銀の鍵を手に取って、


「……さぁ、気合を入れていこうか!」






 ★






 目が覚めたと同時、

 センは、


「……お、あるな」


 三つの鍵があるのを確かめてから、


「でも、黒い石はありません、と。なんで、黒い石だけ現地調達しないといけねぇんだよ、うぜぇなぁ」


 そうつぶやきながら、

 センは、瞬間移動で学校の屋上に向かい、黒い石を拾って、

 また、自室に戻る。

 この間、3秒ほど。


「……これで済むんだから、最初から、俺の荷物の中にあればいいじゃねぇか。うぜぇなぁ」


 ぶつくさと文句をいいつつ、

 センは、


「まあ、いいや。とりあえず、学校にいくか……別に行かんでも問題なさそうだが……一応な」




 ★




 それからセンは、丁寧にフラグを積んでいった。

 あいている時間は、すべて、肉体と精神の休息に使い、

 夜にロイガーを殺し、

 次の日はウムル、

 そして、紅院を救いながら、イグ&ツァールを殺し、

 200人に首トーンをいれて、

 武道大会で優勝し、紅院正義(まさよし)から礼を言われ、

 ――そして、オメガタワー。


「無駄に手間を取らせやがって……」


 ぶつぶつと文句をいいながら、

 センは、管理人室を目指す。


(これで、すべて終わる……)


 前提としてはロケハンなのだが、

 しかし、もう、このターンで殺す気満々だった。


(今の俺ならいけるだろ……つぅか、いけなかった場合、銀の鍵はもう一個しかないから、普通に詰むんだよなぁ)


 などと、心の中でぶつぶつ言いながら、

 センは、そのまま、オメガタワー内にあるエレベーターに乗り込む。


 オメガタワー内に、エレベーターは7つ。

 その中の、一番左端にあるエレベーターが、

 最上階の展望台へと直で向かうもの。


 迷わず、一直線で乗り込むセン。

 ガラス張りの窓から、『どんどん小さくなっていく街並み』を眺める。

 ぶっちゃけ、もう、見飽きた光景。


 高いタワーの最上階を目指しているとはいえ、

 直で向かうので、そんなに時間はかからなかった。


 チーンと、音がして、センは、エレベーターを降りると、

 そのまま、最奥にある特別ルームへと足を運ぶ。

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