88話 プラチナブラッド。


 88話 プラチナブラッド。


 『存在値1000万オーバー×4』という、

 エゲつない数字の暴力で袋叩きにしているというのに、

 まったく死ぬ気配を見せないセン。


 その様を目の当たりにしたゼノリカの天上たちは、


「なんで……貴様、死なない……」


 普通に困惑していた。

 『センの死』があまりにも遠すぎて、

 心が今を見失っている。


「がはは! 不可解、不可解! まったく、面白いクソガキだ!」


「一ミリも面白くはないねぇ。この不気味さは異常だよ。存在値に見合わない過剰な生命力」


 カンツとアストロギアの言葉に反応するように、

 ジャクリナが、


「高性能の『ドリームオーラ』でも使っているのかな?」


 『バリア系の魔法』でも使われているのか、

 と疑ってかかり、看破系の魔法を使ってみるが、

 いっさい、それらしい気配は見受けられない。



 ――アクバートたちには知る由もないことだが、

 センは、ここにくる前、

 オメガレベル53万の化け物を、

 1万体も殺し、その魂魄を喰らってきている。


 『オメガレベル6000の壁』は超えられなかったが、

 しかし、『生命力の中核』でもある『魂魄』を、

 エゲつないほどの量、奪い取ってきたセンの、

 『生命力の器』は、ただごとではない状態になっている。


 さらに言えば、センの中には、

 オメガシャドーの魂魄も刻まれている。


 『1万のオメガ虫』と『オメガシャドー』の魂魄が、

 今、けなげに、センの命を支えている。


 ちなみに、現在のセンのステータスは、

 こんな感じ。





 000000000000000000000000000



 《レベル》     【1】

 《オメガレベル》  【6000】


 [HP]      【7200万/2億3500万】

 [MP]      【8万/35万】

 [スタミナ]    【12000/68000】


 「攻撃力」       【15700】

 「魔法攻撃力」     【12980】

 「防御力」       【13300】

 「魔法防御力」     【8908】

 「敏捷性」       【6900】

 「耐性値」       【7500】

 「HP再生力」     【150万】

 「魔力回復力」     【18603】

 「スタミナ回復速度」  【7201】

 「反応速度」      【?】


 「隠しパラメータ合計値」【?】


 「獲得経験値」     【0】

 「ネクストEXP」   【無限】



 11111111111111111111111111111






 膨れ上がった生命力のおかげで、

 なんとか、即死は免れているが、

 しかし、ほんの数分の戦闘で、

 センの膨大な生命力は、3分の1まで削られてしまった。


 『なんとか、耐えている』というだけで、

 死ぬのは時間の問題。


「げほ……がはっ……」


 大量の血を吐いたセン。


 そこで、気付く。


「……白い……?」


 自分の吐いた血が、命の色をしていなかった。

 赤でも黒でもなく、輝くような白だった。


 雪の結晶を彷彿とさせるような、

 あまりにも美しい白だったので、

 逆に、命の色を一切感じない。


 高純度のプラチナを煮詰めたような、

 美しすぎる『白銀』を吐いていた。



「……目が……おかしくなった……?」



 最初は、ダメージを受けすぎて、

 『色を識別する錐体細胞がバグってしまったか』と疑ったが、

 しかし、センの目は、他の『赤』を、普通に見えていた。


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