2話 露払いはお任せを。


 2話 露払いはお任せを。


「また、ウルトラレアのアイテムみたいね。ここ最近、とんでもなくレアなアイテムばっかり出るから、感覚がマヒしてきて、さほど嬉しいとも感じなくなってきたわ」


「同感だぜ。これまでのループだと、ウルトラ級が出た時は、涙を流して喜んでいたんだが……もはや、何も感じねぇ」


 そんな二人のやりとりを見ながら、

 ゾーヤが、


「なるほど……話には聞いていましたが、アイテム探索とは、まさに、宝探しのようですね」


「宝探しというか……感覚的には、潮干狩(しおひが)りだな」


 などと会話していると、

 そこで、地面にジオメトリが描かれた。


 淡い光に包まれて、

 そのジオメトリから這い出てきたのは、

 美しい猫を擬人化したような化け物。


 それを見て、センは、小さな声で、ボソっと、


「……質量が薄い……ただのグレートオールドワンか。できれば、下級のアウターゴッドに出てきてほしかったが……まあ、贅沢は言わないさ」


 と言いながら、化け猫を狩ろうとしたが、

 そこで、ゾーヤが、


「陛下。あの程度の小物、わたくしにお任せを」


 そう言いながら、亜空間倉庫に手をつっこみ、

 虚影を掴むと、シャキンと音をしならせながら抜き出して、

 そのまま、化け猫に切りかかっていく。


 いきなり攻撃をされた化け猫は、

 ゾーヤの攻撃を紙一重のところで回避しつつ、


「……いきなり攻撃してくるとは、無礼な奴」


 けだるげに、体をくねらせながら、そんなことをつぶやく彼女に、

 ゾーヤは、


「命の王に仕える身である私が、貴様のようなカスに礼儀など示すと思うか? 無礼は、むしろ、こちらのセリフ。貴様は今、偉大なる王の前にいる。控えおろう」


「ふふ……ふざけたことを。私は、大いなる渦の魔神、闇の女主人イスタシャ。下等種に下げる頭は持ち合わせていない」


 そう言いながら、

 イスタシャは、両手の爪をギュンと伸ばして高質化させる。

 十本の刃となったイスタシャの爪を見つめながら、

 ゾーヤは、


「分かる……感じる……貴様は、それなりに質量の高い神話生物。おそらく、最高位クラスのグレートオールドワン」


「下等生物にしては理解力がある。私はS級のGOO。人の身で抗えるものではない」


「確かに、私個人の力だけでは抗えないだろう。しかし、私には、アウターゴッドの剣がある」


 そう言いながら、ギュっと、虚影を構えつつ、握りしめる。


「アウターゴッドの剣? ふふ……愚かしい」


 心底小ばかにした笑みを浮かべているイスタシャに、

 ゾーヤは、


「これを見て、まだ笑っていられたなら、大したものだと褒めてやるけれどねぇ」


 ニィと、黒い笑みを浮かべながら、

 フェイクオーラを解除してみせた。


 その瞬間、


「ひっ……いぃいい?!」


 イスタシャは、あまりの圧力に、全身から冷や汗を噴出させる。


 あまりにも規格外の力。

 アウターゴッドほどとは言わないものの、

 しかし、アウターゴッドの片鱗を感じさせる異常なパワー。


「な、なんで……どういうこと……っ?! ただの人間が……どうして、そんなっ……なんだ、その膨大な魔力……っ」


「私はただの人間ではない。偉大なる王に仕える者。貴様のような、ただのバケモノとは格が違う」

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