55話 薬宮トコの呪い?
55話 薬宮トコの呪い?
「――これが、人類最期の闘いだ」
そこで、トコが、紅院をかばうように、前へと出て、
「一個、聞いてええか?」
「なんだ?」
「……確認なんやけど、あんたはアウターゴッドやないんやな? 2000年を積んだという、あんたのその過剰な強さ、何したって勝てる気がせぇへん絶望的なレベルなんやけど、それでも――」
「……私は、GOOの中だと最上位に位置するS級の神格だが、外なる神々とGOOの間には、決して越えられない壁がある。神は遠いのだ。貴様らが想像するよりも、ずっと。神の領域に届こうと思えば、2000年程度では話にならない。最低でも『数万の時』を必要とするだろう」
「……なるほど。それがアウターゴッドか。そら、召喚されてもうたら、星が終るっていうんも分かるなぁ」
と、つぶやきつつも、
心の中で、
(……もし、あたしにかけられとる『アウターゴッド召喚の呪い』が解けへんかったら、あたしは『自殺するしかない』って訳やな……まあ、わざわざ世界のために自殺せんでも、普通にここで殺されそうやけど)
などと『ずいぶん意味深なこと』をつぶやくトコ。
そんなトコの様子に興味はない感じで、
ロイガーは、
「さて、もう、お喋りは、おなかいっぱいだ。さっさと、かかってこい」
そう言って、右手でクイクイと手招きするが、
しかし、
「「「……」」」
美少女たちは固まって動けない。
極めて純粋な話。
ロイガーの話を聞いたことで、
純粋に絶望してしまったのだ。
彼女たちは、今日までに『15年前後』という時を生きてきた。
たった15年の中でも、地獄や苦悩は、何度も経験してきた。
多くの苦難・逆境を乗り越えて、
彼女たちは『今日』にたどり着いた。
その『100倍』を超える地獄を積んで、
今、ロイガーは、彼女たちの前に立っている。
//『ロイガーの1000万倍を積んだ変態』の『狂気』を知っている者の視点では、ロイガーの功績などぬるいと感じるだろうが、実際の話、『2000年』は、ただ事ではない数字。その『10分の1』の『200年』だったとしても『積み重ねた時間』と考えれば、普通に『とんでもない偉業』といえるし、そのさらに『10分の1』の『20年』で考えても『没頭した時間』と考えれば、大喝采の賞賛に値する。
仮に、どこかの『頭おかしい作家』が『毎日2話投稿』という狂気を、20年連続という単位で達成したとしよう。そうなったとき、多くの人が、そのヤベェ作家の『偉業』を称えるだろう。よほどのアンチであっても『さすがにスゴイ』と思わざるをえないだろう。20年という数字には、実際問題、それだけの『重み』がある。
ロイガーは、そんな狂気の10倍の、さらに10倍を、積んだのだ//
――その『事実』を紅院たちは『正しく理解』した。
『時の重み』を、ただの数字ではなく、正確に受け止めた。
ゆえに絶望する。
――『2000年を積んだ神様』に『10数年しか生きていない小娘』が、何人束になってかかろうと、勝てるわけがないだろう、ふざけるな――
この結論に至るのは、むしろ、至極当然の話。
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