60話 このセンエースは、変身をするたびにパワーがはるかに増す。
60話 このセンエースは、変身をするたびにパワーがはるかに増す。
(尊敬されないからキレるって……なかなかのダサさだな……『こんなヤツを手持ちに加えて大丈夫だろうか』とちょっと心配になってくるレベルだ……まあ、今は手ゴマが足りていないから、手持ちにせざるをえないんだけど……)
心の中で、そんなことをつぶやいていると、
クティーラは、
全身の体色を、よりダークな色彩へと変貌させていく。
より強く、より速く、より硬く、
そんなイメージを具現化させたような姿。
両の目が、ビカビカと赤くギラついて、
自身の獰猛さを、これでもか、と表現している。
「クソガキぃ!! あんたは、このクティーラ・ヨグカスタムを怒らせたぁ! この世には、絶対に起こらせてはいけない神格が存在する! それがあたしだ! あんたは、そんなあたしを怒らせたぁあああ! じゃあ、どうなる?! 答えは、死ぬぅうううううううううううう!」
激昂を加速させて、
クティーラは、センを粉みじんにすべく、
「異次元砲ぉおおおおおおおおおおお!」
自身の怒りをぶち込んだ、
驚異的な威力の異次元砲を放つ。
絶望を具現化したような、
その照射を、
センは、
「雑味が強いなぁ。お前、異次元砲を撃つのがちょっとヘタ。怒りで集中力がブレているだけ、って可能性もあるが、暴走した感情をプラスにできていない時点で、俺の視点だと、普通に三流だと言わざるをえない。ブースターにできない感情論なんざ、燃えない生ごみだと知れ」
辛口レビューで一刀両断すると、
そのまま、
「はい、一閃」
図虚空を使うこともなく、
たんなる手刀の横薙ぎで、
あっさりと、
クティーラの異次元砲を両断してみせた。
「え……えぇ……変身したあたしの異次元砲を……手で……切った……?」
「この程度で驚いてもらっちゃあ、困るなぁ。くくく。お前は、その『ダーク変身』が切り札だったかもしれないが、しかし、『変身系の切り札』を隠しもっているのはお前だけじゃない」
そう言いながら、
センは、指を二本たてて、
その本数を見せつけながら、
「このセンエースは、変身をするたびにパワーがはるかに増す。その変身を、あと2回も俺は残している。その意味が分かるな?」
「……下等生物が……変身……?」
「ふふん。本当は、1回しか変身できないが、テンプレを言いたいがあまり、普通に嘘をついてしまった、というのが、今の俺の現状だ。どうだ? 宣言通りに2回変身されるよりも、むしろ、逆に恐ろしいだろう? ふははぁ! これが俺だぁ! 震えて眠れぇ!」
「こ、こんな頭おかしいイカれた変態に……このあたしが……あたしが……」
センの異常性に震えるクティーラ。
気づけば、涙が出ていた。
高すぎるプライドをメタメタにされ、
くやしさが許容量を超えてしまった。
「こんなの、絶対に違う! あたしが、下等生物に後れを取るなんて、そんなわけがない! ――そ、そうだ! あんたは、絶死を積んでいるんだ! 無理をして、虚勢を張っているんだ! どうせ、すぐに、ガス欠になる! そして、世界は正常に戻るぅう! あたしが最強で! あたしの欲望だけで、あたしの全部が満たされる世界にぃいいい!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます