61話 二本の刃がメインウェポンでプライドが高いゴシックガール。


 61話 二本の刃がメインウェポンでプライドが高いゴシックガール。



「あんたは、絶死を積んでいるんだ! 無理をして、虚勢を張っているんだ! どうせ、すぐに、ガス欠になる! そして、世界は正常に戻るぅう! あたしが最強で! あたしの欲望だけで、あたしの全部が満たされる世界にぃいいい!」



 ヒステリックに、自分の理想だけを垂れ流すと、

 クティーラは、闇雲に、センとの戦闘を続けた。


 繊細さのかけらもない、

 ただ、暴力をブン回すだけの攻撃を続けるクティーラ。


「はやく! はやく、はやく、はやく、尽きろぉお! あんたが、無茶をしているのは分かっているんだ! 何かしらの反則技を使っているのはお見通しなんだ! さっさと、限界を迎えて、あたしの足元にひれ伏せぇええ!」


「クティーラ……お前の武はそこそこマシな領域にあるし、数値も、決して悪くないが……ちょっと、性格に問題がありすぎるな……」


 センは、タメ息まじりに、


「目の前の『今』すら受け入れられない根性なしは、永遠に、今より『先』へは進めねぇ」


 たんたんと、とうとうと、


「プライドが高いのは別にいいが、プライドにすがっているようじゃ、話にならない」


「黙れ、黙れ、黙れぇええ! チートに頼るしかない下等生物の分際で、このクティーラに、上から偉そうにモノを言うなぁあああ!」


 クティーラのダーク色がさらに強度を増していく。

 変身の二段階目。


 センのウソと違い、

 クティーラは、ガチで二回目の変身を隠し持っていた。


 より、戦闘向けのゴシックスタイルへと変貌。

 両腕から、二本の禍々しいマンティスブレードが生えてくる。

 とにかく、火力に特化したモード。

 装甲がもろくなる代わりに、『火力』が膨れ上がるフォルム。

 今のクティーラは、DPSだけに注視した場合、

 すべてのGOOの中でも最高格と言っても過言ではない。


「――ひれ伏せ、恐怖しろ、おののけ――」


 無駄な言葉をたくさん使った上で、


「あたしを――認めろぉおおおおおおお!!」


 はちきれんばかりに叫びながら

 クティーラは、センに猛攻をしかける。


 豪速で剛力。

 とにかく速くて、とにかく力強い。


 そんな、

 クティーラの暴走を、

 センは、


「認めているさ、少しはな」


 軽やかに受け止めて、


「だから、手持ちに加えようとしている。いくら、切羽詰まっていようと、ゴミを手持ちに加えようとは思わない」


「げへぇえっっ!!」


 強烈なカウンターをお見舞いするセン。


「お前は強いよ、クティーラ。『薬宮たちの敵を裂く刃』としてなら、今の段階でも、十分に合格ラインを超えている。けど、お前には『それ以上』を求めたい。俺の『強欲』は、お前のワガママなプライドとは比べ物にならないくらいに重く深い」


「ぐへっ……げほっ……」


 盛大に吐血しながら、朦朧としているクティーラに、

 センは、


「今日からお前は俺の力の一つになる。その地獄がどれだけ重いか、身をもって知れ。最初に言っておくが、俺の力の一つになるってことは、エグい地獄とランデブー確定ってことだ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る