23話 無害ゆえに無敵のメンヘラ。
23話 無害ゆえに無敵のメンヘラ。
「ご安心を、セン様。あなたのすさんでしまった心を、私が、必ず、溶かしてさしあげます。他の誰も必要ない。わたくしと、あなただけが世界の中心。混ざり合って、溶けあって、そして……自由になりましょう」
などと、何を言っているのか、ちょっと分からない妄言を垂れ流しながら、アルキは、センにしなだれかかる。
そのムーブに対し、センは、
一応、礼儀として受け止めてから、
「……思い込み型のメンヘラが……何回も首トーンさせんじゃねぇよ」
溜息をつきつつ、そう言いながら首トーンを決めてみせる。
一瞬で意識を失う――と思っていたのだが、
しかし、
「ん? え? なに? え、なに、この硬さ……」
彼女の首は、
まるで、アウターゴッドのドリームオーラに包まれているかのように、
センの『ヌルい手刀』を優雅に弾き飛ばした。
何が何だか分からず驚いているセンに、
アルキが、妖艶な微笑みを浮かべて、
「わたくしを気絶させることは不可能です、セン様。今の、あなた様に対するわたくしは、無害ゆえに無敵。ポット〇リンみたいなもの――と説明すれば、あなたは全てを理解してくれるはず、と聞いているのですが、いかかでしょう?」
「……聞いている……と来たか。ちなみに、それは誰から聞いた? 誰がハ〇ワレを使って、お前をポッ〇クリンに仕立てた?」
「名前は知りませんが、浅黒い肌をした男でした。夢の中で、ニヤニヤしながら『君の願いを叶えてあげるよ』とかなんとか言いながら、私に魔法をかけたのです」
(……ニャルか……やっぱなぁ、だろうなぁ、そうだろうと思ってた……てか、やばいなぁ……あいつの魔法となると、まだまだ太刀打ちできる気がしねぇ……くっそぉ……どうしようぉ……)
「これで、あなたは、わたくしを拒絶することは不可能。さあ、セン様。ともに、新しい扉を開きましょう。わたくしの純潔を、あなたに捧げます」
「……ちょ、ちょっと、待とうか。いや、まじで。本当に、冷静になっていただきたい!」
そう言いながら、センは、彼女を押しのけようとするが、
「あれ? ちょっと待って! あんた、なんか、力、強くない?! 全然、無害じゃない力強さを感じるんだけど?!」
「好意で行動する場合に限り、わたくしは、あなたに対し、トリ〇テンとしての効果を発動することが可能……と聞いております。わたくしには、さっぱりなのですが、セン様なら、その辺も理解できますか?」
「……あんたが強いんじゃなく、俺の方が絶にされてんのか……なるほど、俺の基礎存在値は、死ぬほど低いから、ガソリンとなる能力を封じられたら、非力な女が相手でも、どうにもできねぇ……てか、えぇ、なに、その無敵チートぶり……」
「さあ、セン様……楽にして。大丈夫です。天上のシミを数えていたら終わりますから」
そう言いながら、母性本能全開の、バブみがハンパないとろけ顔で、センの頭を優しくなでるアルキ。
「いや、あの……ちょ、マジで……」
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