99話 どっちが主役でショー。
99話 どっちが主役でショー。
「あかん! これ、ムリなやつ! エグい! こいつの中心、スーパーセンエースより強い! 詰んだぁ!」
センのプライドは、あっさりと砕け散った。
ソルの異常性は、センの想像を超えていた。
ソルのバリアをどうにかできる火力を、
今のセンは有していない。
「やばいぞ、天童! 勝機ゼロだ! あのソルとかいうやつ、さっきまでだったら、なんとかなりそうな雰囲気がゼロじゃなかったが、今のこいつには、正直、勝てるとは思えねぇ! なんか、いろいろと桁違いだ! どうしよう! 助けて!」
「……センエース、お前、あきらめのはやいヤツだな……まだ、数回しか殴っていないだろう。もっとあがいてから諦めろ」
「誰に口きいてんねん! 『諦めないこと』に関しては人後に落ちないことで世界的に有名な、このセンさんに対して、あきらめがはやい、だと? たわけが!」
「……お前、さっき、自分のことを、『どこにでもいる普通の高校生』と言っていなかったか……?」
「俺の言葉なんざ、基本、ラリってんだから、まともにとりあうな!」
「……めちゃくちゃな野郎だ……こいつと比べたら、佐々波がマシに思える……」
「天童! 俺は、今まで誰かに頼ったことが、ほとんどない! 基本、『自分以外のダレにも頼れない状況』ばかりだったからだ! しかし、今はお前がいる! ぶっちゃけ、お前の方が、俺よりも強い! というわけで、助けてくれ! ヒーローになってくれ! かっこよく見参してくれぇえええ!!」
「……俺はヒーローなんかじゃない……ただの死にかけている天使だ……」
「からのぉ?!」
「からのもクソもあるか……俺はただの『翼の折れかけたエンジェル』だと言っている」
「そんなもんは見れば分かる! しかし、『それでも』と叫べ! そして、覚醒しろ! お前は強い! あと、5~6回ほど覚醒すれば、おそらく、ソルを上回る! というわけで、さっさと叫べ! 『それでも』! もしくは『けれども』! 弱音を吐いても、打ち消しの接続詞を使えば、どうにかなる! 俺は詳しいんだ!」
「詳しいなら、お前が言ってくれ。……俺は、もう……そろそろ死ぬ……絶死のアリア・ギアスが……俺の魂魄の火を……消している……」
「泣き言をほざくな、主人公! お前は俺よりも強いんだ! てことは、おそらく、お前こそが、この世界の主人公なんだよ! 今までの俺は『もしかしたら、俺が主役かもしれん、最悪だ、ふざけんな』とビビっていたが、違った! お前だ! お前は俺よりも背が高い! あと、さすがに、俺よりはイケメンだ! その上で、お前の方が強いときたら、もはや、お前が主人公で間違いない! 主人公は負けない! どんなピンチになっても、ヒーローとして輝いて、敵を打ち砕く! 俺は詳しいんだ!!」
「それほどまで詳しいということは、きっと、お前が主役なんだろう。俺も、ついさっきまでは、自分のことを主人公だと思っていたが……違った。おそらく、主役はお前だ」
「いやいや、お前だ! 主役はお前なんだよ! 俺じゃない! お前の方が、あれだ! なんか、主役っぽい顎のラインをしている!」
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