77話 とんでもないド変態の波動。
77話 とんでもないド変態の波動。
自身の携帯ドラゴン『エルメス』に、
『舞い散る閃光』のデータをプログラミングしていく作業。
当たり前だが、とんでもなく難航した。
舞い散る閃光のデータは少なすぎるから、
『軌跡をなぞる』というトレースができない。
部分部分で予想を挟みながら、
推測のシルエットを、節操なく、エルメスにぶちこんでいく。
すると、だんだん、妙な形に仕上がっていく。
『え、これで、あってる?』などと思いながら、
『いや、これは、違うんじゃない?』などと疑念を抱きつつ、
それでも、トウシは手を止めることなく、
どうにかこうにか、拾い集めた情報の断片で、
『舞い散る閃光』に対する『希望』を形成していく。
(……こんなんが……究極超神の序列一位? ……いやぁ……ちゃうと思うけどなぁ……)
『最強の闘神なら、もっと美しいはずだ』などと思う反面、
『もしかしたら、こんなもんなんかも』などとも思う。
積み重ねたデータを、
ついに、実行させるトウシ。
その心境は、
(……頼むから……なにか、どでかい奇跡、起こってくれ……)
論理をつきつめた学者でも、
未知の研究をしている時は、
この手の心境に陥ることがある。
努力に努力を重ねた先にある神頼み。
その想いは、単なる現実逃避ではない。
だから、というわけでも、実際のところは、ないのだけれど、
「……きゅい……っ」
田中トウシの携帯ドラゴン『エルメス』は、
まるで、何かを、強く『自覚』したかのように、
煌々とした輝きに包まれた。
その輝きは、数秒で収まって、
エルメスの深部に刻まれる。
――その一連を、ハッキリと認知していたソンキーは、
「とんでもないド変態の波動を感じる……おそろしく薄気味悪いオーラだが……しかし……」
ソンキーは思う。
この脈動は、『次のステージ』に進むための道標になる、と。
「歯車として扱うには、あまりにも重たすぎるコスト……むしろ、贅肉とも呼べるウザさ……この全てを背負って飛ぶのは、あまりにもしんどすぎる……だが……だからこそ――」
だからこそ、より高く飛べるのかもしれない、
そんなことを思いながら、
ソンキーは、舞い散る閃光の全てを受け入れる。
心の熱量がグっと増加。
魂の深部に絡みつくような炎が灯る。
ドクドクと脈動。
終わらない狂気に包まれて、
頭がおかしくなりそうだったが、
「すぅ……はぁ……」
静かな深呼吸で自分を律する。
彷徨う冒涜は壊れない。
いつだって、シャンと前を向く。
「さぁ、行こうか……」
気合いを入れなおして、
ソンキーは、ヨグと向き合いなおす。
魔力とオーラを練り上げる速度が上がった気がした。
ソンキーは、翔ける。
時空を置き去りにでもしているかのように、
速く、速く、速く。
「……『ヘブンズキャノン』ッッ!!」
昂った感情のままに叫ぶと、
ソンキーの背部から、ギギギっと音を立てて、
『キャノン付きのシッポ』が生えてきた。
それは、ソンキーが有するプラチナスペシャルのうちの一つ。
感情が昂った時に『出現する可能性がある』という、
キッチリ運頼りの、不確定なとっておき。
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