48話 いろいろ、うまくいかない。

 48話 いろいろ、うまくいかない。


 その日の日中、センたちは、それぞれ、

 建設的な行動をとっていた。


 カズナは、ヒント探しではなく、

 『ことが起きてしまった後』のために行動している。


 『食料集め』であったり、

 『人類絶滅時におけるマニュアルの作成』であったり、様々。


 『正義(まさよし)』に相談しようかとも思ったが、

 信じてもらえるか微妙だし、

 信じてもらえたら、もらえたで、

 どでかい混乱が起こるのは目に見えている。


 ――『色々』と想定した上で、

 とりあえず、『自分達だけで動こう』という結論にいたった。


 カズナが裏で動いている間、

 センは、学園中を探し回って、

 『銀のカギ』か『それに準ずるアイテム』を散策した。


 授業を全てサボり、必死になって、学校中をかけずりまわった結果は、



「なんの成果も!! えられませんでしたぁあ!!」



 テンプレを口にしてはいるものの、

 センは、本気で歯噛みしており、

 『収穫無し』という現実に対する焦燥感と不安から、

 ゲッソリとした表情になっていた。


 センエースは、『我慢できる』というだけで、

 絶望に対して『何も感じない』というわけではない。


 『受けた絶望』は、ちゃんと、

 センの全身をズタズタにしている。



 ★



 その日の夜、

 センは、黒木と共に、

 『例の宝箱』を目指して校内を歩いていた。


「……あ、本当にありましたね」


 前と同じ場所をサーチしてみると、

 当然のように、前と同じ形状の宝箱がポツンと置かれていた。


「危ない……かもしれないから、離れていてくれ」


 と注意喚起をほどこしてから、

 黒木が十分に距離をとったのを確認して、

 センは、宝箱を開けた。


 前と同じく、宝箱の中身はカラ。

 そして、宝箱の底に、ジオメトリが刻まれていた。

 センが、『宝箱の中身はカラである』と認識した直後、

 そのジオメトリは、カッっと、強い光を放った。


 『予定通り』だったのはそこまで。


 『二匹ともサクっと殺してやろう』と、

 意気込んでいるセンだったが、

 一向に、転移のワナが発動しない。

 そうこうしている間に、ジオメトリの光は落ち着いてしまった。



「……えぇ……不発?」



 『失敗したのか』と思ったが、

 しかし、その直後、


「おい、黒木。ちょっと、紅院に電話してみてくれ」


 言われて、即座に電話をかける黒木。

 電話に出たのは、


『マナミ! なんか、ミレーが、急に消えた! あんた、理由しっとるか?!』


 隣にいるセンにも聞こえるボリュームでトコの声が響いた。

 と同時、

 センは、


「めんどくせぇええええええええええええええ!」


 そう叫びながら、走り出した。



 ★



 ――突如、わけもわからず、異空間に飛ばされたミレー。

 当然、『前回』よりも強く戸惑ったものの、



「東西南北……どれかを選んで、ゴールを目指せ……みたいな感じ?」



 どうにか、理性を保ち、

 脱出するための方法を探していく。


 その途中で、

 『ツァール』に出会い、

 『無限ループを経験』したのちに、




「――単純な話だよ、紅院美麗」




 そう言いながら、ツァールは、

 右手をビキビキと変形させていく。

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