74話 バカになって考えろ。
74話 バカになって考えろ。
ヨグの神闘に、トウシは反応できなかったが、
「――くそったれがぁあああ!!!」
ソンキーは、ギリギリのところで反応を示した。
体をギュルっとひねることで、
背後から繰り出されるヨグの攻撃をギリギリのところで回避する、
と、同時、瞬間移動で距離を取ろうとする、
――が、
「時空戦はオススメできない。私は、その領域の第一人者だ」
そう言いながら、亜空間に手を伸ばす。
ノールックのまま、ソンキーの足をガシっと掴み、
そのまま引きずり出して、力強く、地面へとたたきつけた。
「ぐっはぁああっっ!!」
白目をむいて、盛大に吐血。
グラグラと中心がブレる。
「さほど力を込めてはいない。まだ舞えるだろう。さあ、続きだ。どんどん行こう」
ソンキーの足から手を離し、
優雅な距離をとるヨグ。
ソンキーは、ギリっと奥歯をかみしめて、
「……た、田中トウシ……考えろ……俺の力をただ振るうだけでは、こいつに勝つことは不可能。この状況をどうにかする奇策を思いつけ」
と、『自分の中』に問題を丸投げしていく。
無茶ぶりをされたトウシは、
ソンキーの中で、
(いや、無理やてっ! さすがに! いくらなんでも、相手の強さが反則すぎる! ワシの小賢しさなんか、通じる気がせぇへん!)
「気がするか否かなどに興味はない。バカになって考えろ。この状況で、それ以外にやることがあるか? バカが」
豪快な舌打ちをはさんでから、
ソンキーは、オーラと魔力を練り上げる。
全力で、集中して、必死に、
すべての自分を沸騰させるが、
「……ちっ……無駄だな……この程度では、相手にならない……」
ソンキー・ウルギ・アースという、
超越的な闘神の力をもってしても、
ヨグには、一ミリも歯がたたなそうだった。
それを理解したトウシは、
(ぐっ……ぅぅ……)
恐怖の中で、必死になって、頭をまわし、
(……ソンキー……お前は力が封印されとる状態なんやろ? どうにか、それを解放したら、ヨグに勝てる?)
「不可能だ……あの女、ヨグ=ソトースは、あまりにも強すぎる。俺の全力を行使したとしても、間違いなく届かないだろう」
(えぇ……いや、じゃあ、ほんまに、完全に詰んでるやんっ!)
「そうだ……だが、ここで終わるのは、さすがに癪だろうが。だから、どうにか、この危機的状況を突破する鬼策を思いつけ」
(いや、もう、無茶ぶりとかいうレベルやないな……っ)
「どうにか、最低限の時間を稼いでやる。俺の中に、お前のスペースを分けるから、そこで、なんとか、なにかしらを考えろ」
そう言いながら、
ソンキーは、スマホを丸のみしつつ、
自分の中で、トウシ用の作業スペースをつくり、
トウシと自分の意識を、完全に切り離した。
★
――ソンキーから無茶ぶりの丸投げをくらったトウシは、
ソンキーの『中』で、
「どわぁああああ! どうする、どうする、どうするぅううう??!!」
頭を抱えて、泣き叫んでいた。
「いや、無理やてぇえええ! どないせぇいうねん、くそったれぇえええ!」
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