91話 次から次へとつながる絶望。
91話 次から次へとつながる絶望。
「……両手を合わせてお祈りして以降の『てめぇらの闘い』は、一般的なソレとは、一線を画している。俺にはわかる。お前らは、ワンランク上の『武術』を使っている」
センは、首をぽきぽきと鳴らしながら、
「しかし、お前らは、その『ワンランク上の武』を、まったく使いこなせていない。一言で言えば、酷く浅い」
『神化』を使う前の彼らの武――『現闘』には、
『深い積み重ね』を感じた。
だが、神化して、神闘を使い始めてから、
急激に、薄っぺらさを感じた。
数字の暴力が酷すぎたので、
薄かろうが、浅かろうが、関係なく、
手も足も出なかったが、
しかし……
「おそらく、お前らは、数年単位でしか、『その武』の鍛錬を積んでいない。話にならない! 『ソレ』を完全に理解しようと思えば、俺の目算だと、軽く5億年は必要だ」
両手を広げて、5を表現しながら、
「今のお前らは、浅瀬でパシャパシャ遊んでいるだけの幼稚園児。俺の前に立つ資格はない」
そう言い捨てると、
瞬間移動で、ジャクリナの背後を奪い、
「レッスンワン、お前らの視界は狭すぎる。視覚と感覚だけで世界を把握しようだなんて傲慢もいいところ」
言いながら、ジャクリナの首に、
美しい首トーンを決めていく。
そのたった一発で、ジャクリナは、
「……っ……」
あっさりと気を失って、その場に倒れこむ。
その一部始終を見ていたアストロギアが、
渋い顔で、
「……視覚と感覚以外の、ナニで、世界を把握しろと?」
その質問に対し、センは、黒く笑って、
「知るか、そんなもん。てめぇで考えろ。俺のレッスンは、超感覚派だ。理論は自分で見つけ出せ」
身もふたもない事を言ってから、
センは、またしても、瞬間移動を使い、
アストロギアの背後にまわると、
「レッスンツー、型の反復が、圧倒的に足りてねぇ。『殺し合い』も『勉強やスポーツ』と同じで、数をこなしてナンボの作業ゲー。てめぇらは、その部分の認識が甘すぎる」
そう言いながら、センは、
空気投げの要領で、
ほとんど触れることなく、
アストロギアを、その場で半回転させて、
「あぁああああっっ!!」
地面にガツンとたたきつける。
頭から叩き落されたことで、
当たり前のように気絶するアストロギア。
――ゼノリカの天上に属する、驚異的な超人4人を、
あっさりと始末してみせたセン。
センは、アクバートたちを楽勝で瞬殺してみせた自分の両手を、
ジィっと、感慨深げに見つめて、
「強い……俺は、やはり強かった……俺は、すでに、おそろしく強いのに……まだ、発展途上で、伸び盛り……すげぇ……楽しい……美しい……嬉しい……気持ちいい……」
ラリったような顔で、
愉悦の中に沈んでいくセン。
――と、その時だった。
「っっっ?!」
エゲつない気配を感じて、センは震えた。
一瞬で、冷や汗が、大量に噴き出す。
全身が痙攣した。
心が叫びたがっているのを感じる。
(……な、なんだ……このおぞましい寒気は……何かが……何かが近づいてくる……)
警戒心が極限まで膨らんだところで、
センの視線の先、
十メートルも離れていない所に、
次元の亀裂が入った。
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