90話 神闘の世界。
90話 神闘の世界。
「がはははは! ワシの全部を受け止めてみろ! クソガキィイイイ!」
叫びながら、
カンツは、センに、ダイレクトアタック。
そんな、まっすぐな特攻に対し、
センは、
「アホのフリをしているが……あの四人の中で、あんたはもっとも賢く、もっとも高潔だ。おそれいる」
そう言いながら、
カンツの特攻に、自分の体を完璧に合わせていく。
おそろしく見事な流。
風に揺られる柳のように、
センは、カンツを優雅に受け流す。
「がわぁああああああああああああああああっっっ!!」
パーフェクトなカンウターで、
地面に向かってたたきつけられたカンツ。
白目をむいてピクピクしている。
まだ生きているようだが、戦闘に復帰するのは厳しそう。
そんなカンツを見下ろしながら、
センは、
「俺の奇妙さを理解すると同時、自分の命をコマにして、仲間に、『俺の情報』を与えようと、全受け上等の特攻。その決断速度。迷わず行動に映せる度胸の質量。そのすべてに、敬意を表する。あんたはすげぇ」
そう言ってから、
ニィと微笑み、
「けど、俺は、そんなお前よりも強ぇ。ただ強いだけじゃなく、別格に強ぇ。あんたの驚異的な特質『ギャグ漫画補正』を黙らせるぐらい、俺は強ぇ」
優越感MAXの顔で、世界を見渡しながら、
「有能なヤツがいてくれて、本当に助かったぜ。おかげで、俺の魂魄が破格に映(ば)える。お前らという有能な物差しを使うことで、俺というスーパーヒーローのすさまじさがハッキリと明確になる」
恍惚の表情で、
「神に成れるのはお前らだけじゃねぇ! 俺の中にも神の因子はあった! この両手両足が、その証拠だ! おそらく、『何か』が『欠けている』から、てめぇらのように膨れ上がることはできなかったが、俺の中の神が、俺に、『もっと輝け』と、ささやいている!」
両手を広げ、天を仰ぎ、
「俺はすげぇ! 俺はかっこいい! 俺は誰よりも強い! 俺こそが最高! 俺だ! ここには俺がいる! 俺を見ろ! 俺を知れ! もっと、もっと、俺を刻めぇ!!」
テンションが天上天下唯我独尊しているセンに、
アクバートが、背後から、
「――スキしかない、死んでろ」
首を狩りにきた。
迷いのない一手。
理想的な最速の瞬殺。
――けれど、
「最初から思っていたんだが――」
センは、恐ろしく静かなムーブで、
アクバートの一手を受け流すと、
そのまま、
「てめぇらは、基本の型すらなっちゃいねぇ」
そう言いながら、
アクバートの胸部に、軽い掌底を決めていく。
「うぐほっ!」
センの掌底は、とても、ゆったりとした動きで、
『軽く押す程度』のものだったのだが、
しかし、アクバートは、吐血しながら吹っ飛んでいく。
そのザマを横目に、センは、
「……両手を合わせてお祈りして以降の『てめぇらの闘い』は、一般的なソレとは、一線を画している。俺にはわかる。お前らは、ワンランク上の『武術』を使っている」
神の領域に至った者だけが会得できる天上の武――『神闘』。
神ならざる者の武――『現闘』。
『神』と『それ以外』の間には、『数値の差』以上に、
『神闘を知っているか否か』という『莫大な差』がある。
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