6話 ここからは、ちゃんとテロをしていきます。
6話 ここからは、ちゃんとテロをしていきます。
「お前なら、神の王にだってなれる」
「なれねぇだろ。てか、なんだよ、神の王って。それ、どういう役職の人?」
「運命を調律する役職に決まっているだろ、常識的に考えて」
「……どの世界の常識だよ。てか、常識をナメんなよ、クソボケが」
と、そこで、トコが、
茶柱の腕を強引に引っ張りながら、
「ほんまに、もうエエから、はよいくぞ!」
「痛い、痛い、痛い! 力が強すぎるにゃ! これは、痕(あと)がのこるやつだにゃ! ひどいにゃ! これはもはや悪質なイジメだにゃ! 訴訟も辞さない構えにゃ!!」
「おう、うけてたったらぁ! 頭のデキはあんたの方が上か知らんけど、資金力で言うたら、こっちの方が確定で上やからのう! 法廷では、地獄を覚悟しとけ!」
ピーピーとわめきながら、
教室を出ていったK5の面々とテロリーダー。
残されたセンたちに対し、
同じく残ったテロリスト二名が、
「はい、じゃあ、全員、席についてください」
「ちょっとグダりましたが、ここから先は、ちゃんとテロをしていきますんで」
その発言を受けて、センは、ため息をつきながら、
(……『ちゃんとテロをしていく』って……すげぇパワーワードだな……)
などと、心の中でつぶやいていると、
そこで、アゲセンが、
「あ、その前に、ガラス片の掃除をさせていただけますか」
「あ、そうでしたね、すいません」
「いえいえ」
などと言葉を交わし合ってから、
挙茂は、生徒の何名かに掃除するように指示を出す。
その中にセンは入っていなかったので、壁にもたれかかって、
クラスメイトが掃除している姿をボーっと眺めながら、
「これって、この後、救助がくるまで待つだけ?」
と、尋ねると、蓮手も、壁にもたれかかったまま、
「たぶんな。別に、妙なイベントを挟(はさ)んでくるとかはないと思うぜ」
「これ、やる意味あるか? ただ待つだけじゃねぇか」
「そんなことを言い出したら、火事や地震の訓練も同じじゃね?」
「地震の場合だと、机の下にもぐるみたいなアクティブもあるじゃねぇか」
「でも、そのあとは、グラウンドに出て、一列に並んで、派遣された消防隊員や警察官の話を聞くだけだろ」
「……ああ、確かに。そう考えると、内容の薄さは同じぐらいか」
「――『強引に拉致られていくお嬢様』という貴重なシーンを見る事が出来たんだから、こっちの方が、内容は濃いだろ」
「あのアホが無意味にゴネて『無駄な一悶着』が起きたってだけの話だけどな」
と、そんなことを話していると、
そこで、
テロリストの一人が近づいてきて、
「君……『せんいちばん』くん?」
と、声をかけてきたので、
「いえ、違います」
「え? あれ?」
と、そこで、テロリストは、スマホを取り出し、
保存されている写真を確認してから、
「いや、君、『せんいちばん』くんだよね?」
「違います」
頑なに否定を続けるセン。
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