7話 健全な猥談。
7話 健全な猥談。
「……まあ、別に異論はないが」
と、つぶやきつつ、
また、センは、無意識に、
チラっと、彼女たちの様子をうかがう。
その視線の動きに対し、
蓮手は、怪訝な顔になり、
「おいおい、閃。今日は、やけに、彼女たちの事を気にしているみたいが、本当に、どうした? いつもは、『あれ? こいつ、ゲイなのかな?』って思わずにはいられないぐらい、K5に対して興味ゼロなお前が、今日は、そこらの盛った猿みたいに、チラッチラ、チラッチラ……」
「いや、そんな、チラチラは見てねぇよ。なんか、いつもに増してヤベェ会話してんなぁとドン引きしているだけで」
「何言ってんだよ、彼女たちの言動は、常に一貫してヤベぇだろうが。昨日も一昨日も、普通に狂っていたぞ」
「いや、んー、まあ、うん……そうなんだけど……けど、なんていうか、あの……つまり、その……」
もごもごしているセンに対し、
蓮手は、ニィと黒い笑みを浮かべて、
「もしかして、あれか? 彼女たちの夢でも見て、意識しちゃってんのか?」
「……」
『ピタっと押し黙ったセン』を見て、
『ビンゴだ』と確信した蓮手は、
黒い笑みを、さらに強めて、
「え、マジで? うわっ、ダッサ。思春期かっ」
「思春期だろうが、俺もお前も。……てか、なんも言ってねぇだろうが。見てねぇよ、あいつらの夢なんか」
「いや、完全に見てるね。見た上で、夢精しているね。その上で、朝、シコってんね」
テンション高めで、ポップな冗談を飛ばす蓮手。
しかし、
そこで、センは、ガチの『しんどそうな顔』を浮かべ、
「……そういうの、マジでやめてくれる? 俺、そういう、普通に下品なノリ、マジでゲロはきそうなほど嫌いなんだよ」
面倒くさいことをつぶやくセン。
蓮手は、空気が読めないバカではないので、
さらに畳みかけるようなマネはせず、
いったん、テンションをフラットに戻し、
「つまんねぇ野郎だなぁ。男子高校生だったら、普通に、友達とエロトークぐらいするだろうが」
と、筋の通った文句を口にする。
蓮手は、何も間違ったことは言っていない。
確かに、上品なジョークではなかったが、
際立って下品だったかというと、
別に、それほどでもなかった。
高校一年生という年齢をかんがえると、
むしろ、健全な会話だった、とすら言えるだろう。
客観的な視点で言えば、
蓮手に分があるように思える、この攻防。
しかし、センは、真っ向から、
「猥談がしたいなら、友達とやれ。俺とお前は、ただの席が近いクラスメイトだ。日常会話をすることはあっても、踏み込んだ会話をする気はねぇ」
「え、俺とお前って友達じゃないの? こんだけ、普通に仲がいいのに?」
「俺に友達はいない。俺は常に孤高」
「なに、それ? どういう系統のツンデレ? 概念が難しすぎて理解不能なんだけど」
「理解してほしいなんて、微塵も思っていないから、別にいい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます