11話 カマトトこいてる変態。
11話 カマトトこいてる変態。
「やる気を感じない! テイクスリーを要求するにゃ!」
「っせぁなぁ……俺だって『恋人』が『怖がって』いたら、やる気出してカッコつけもしようが……現状は『変態』が『カマトトこいている』だけだから、戸惑うことしかできねぇんだよ、クソが……」
センの発言を受けて、
茶柱は、周囲をキョロキョロしながら、
「カマトトこいてる変態? それはどこにいるのかにゃ?」
「……原始のボケかましやがって」
「あ、いたにゃ」
と言いながら、センの額に指をつきつける茶柱。
「いてぇよっ」
と言いながら、茶柱の指を払いのけつつ、
センは、茶柱の前に出て、
「あんなザコくさいヤツの一匹や二匹、お前でも楽勝だろうが。携帯ドラゴンもってんだからよぉ」
「メギドは、ツミカさんに匹敵するぐらい、可憐で華奢でか弱いから難しいにゃ」
「昨日、お前のメギド、ものごっついランチャーみたいなので、GOOを爆撃していたと思うんだが……」
「記憶にございません」
「政治家の娘かっ」
直球のツッコミを入れた直後、
『召喚直後のプルプル期』から抜け出したムーンビーストは、
センに向かって、迷いなく、槍を投げ飛ばしてきた。
ギュンッッと、伸びてくる力強い投擲だったが、
センは、
(なんで、俺は、これを掴めるの?)
と、投げつけられた槍を、落ちているエンピツでも拾うみたいに、
ヒョイとつかみ取りつつ、世界に疑問を投げかける。
(けっこうな速度だったよ? 俺の動体視力とか運動神経で反応できるワケないと思うんですけど。俺、中学の時、体育のソフトボールで、『経験者が投げた球』に反応できなくて、腹にブチあたってゲロ吐きそうになったことがあるんですけど……あきらかにおかしいよね? 昨日ぐらいから、俺の様子、明らかにおかしいよね? なに、これ? ほんと、どういうこと?)
当然、答えは帰ってこない。
そんなことはわかっているので、
センは、悲観することなく、
「はぁ……やれやれ……」
と、心底しんどそうに呟(つぶや)きつつも、
スタスタと、ムーンビーストのもとまで歩き、
「……一閃」
一文字に槍を薙ぐと、
ムーンビーストの体が、
トウフのように、スパァっと抵抗なく切断された。
「ギ……ギャッ……」
うめき声もそこそこに、
あっさりと死にたえたムーンビーストの体は、
雪の結晶みたいに、パラパラと世界に溶けていく。
その様子を、しっかりと目撃した茶柱は、
「ひゅぅう! カァァッコイィっ!」
パチパチと拍手しながら、
「特に、自分の名前が入った必殺技を、恥ずかしげもなく口にするところとか、最高だにゃぁ! 他にもあるのにゃ? サイコロイッセンと、イッセン以外にも、必殺技のレパートリーはあるのかにゃ? オリジナル必殺技をまとめたノートとかあるのかにゃ? もしあるなら、ぜひ見せてほしいにゃ。ね、ね、センセー、どうなの、センセー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます