47話 S級GOOは、ほぼ神。
47話 S級GOOは、ほぼ神。
「……あたしら、最高でも、C級ぐらいしか、相手したことないで……」
愕然としているトコに、
ロイガーは、
「くくく……だろうな。C級以上のGOOともなれば、そうそう召喚できないからな」
神話生物の召喚は、階級が上がれば上がるほど難易度が上がる。
E級やD級は、比較的簡単に召喚できるが、
その分、存在値がかなり低い。
『人間の兵器』でも、種類と量次第で勝てなくもない。
ただ、C級から上になってくると、
召喚するための条件がグっと厳しくなってきて、
携帯ドラゴンの力なしでは太刀打ちできなくなってくる。
――そこで、ロイガーは、
「ハッタリと思われるのは不愉快だからな……私の力を、少し見せてやる」
オーラを増大させる。
グンと膨れ上がった存在値。
バチバチと電気が走り、
空気がピリっと引き締まる。
ロイガーの膨大さを受けて、
トコたちは、ロイガーの言葉が事実だと気づいた。
「う、うそやろ……」
「なに……この大きさ……」
「小物臭がハンパじゃないから、ハッタリだろうにゃぁ、と思っていたけど、どうやら、マジでS級っぽいにゃぁ。はははー、罪華さん、どうやら、今日、死んじゃうみたいだにゃぁ。はははー」
「笑っている場合じゃないでしょう、罪華さん……これ、本当にまずいですよ……」
神話狩りの面々がおののいていると、
ロイガーが、
「今日、お前らは、神を知る。限りなくアウターゴッドに近い『天上』の力。『最強』という概念を知ることとなる。その喜びに、打ち震えながら、あの世にいくといい」
ニタニタと笑いながら、そう言うと、
拳にオーラを込めて、
「さあ、絶対なる死を前に、魂の底から、なげき苦し――ぐぎぎっ!!」
トコたちに殴り掛かろうとしたところで、
ロイガーは、電気ショックでも受けたみたいに、
ビクビクと痙攣(けいれん)して、その場に倒れこんだ。
神話狩りの面々は、ワケが分からず、
「え? なに、これ? どういうこと?」
と、首をかしげていると、
ロイガーが、ゆっくりと起き上がって、
「……ぐぅう……ぁ、ああ……そ、そうか……そうだった……まずは、準備を……」
などと、ブツブツ言いながら、
全身に、回復魔法を使う。
「べ、別に、反抗する気はありませんよ……ちょっと、本当に忘れただけです……ちゃんとやります……もうしわけありません……」
などと、小物臭に包まれながら、ぶつぶつ言ったあとで、
「すぅ……はぁ……」
一度、深呼吸をしてから、
ロイガーは、トコたちに視線を向けて、
「……私はとても寛大なので、貴様らに、作戦をたてる準備をやる。貴様らが行動を開始するまで待っていてやるから、さあ、存分に話し合え。さあ、私という脅威に対し、どのように立ちまわる?」
「「……」」
状況がさっぱり飲み込めないトコと黒木。
その間、ずっと空気になっていたセンは、
心の中で、
(最初から思っていたが……あいつの言動、なんか、全部、白々しいというか……芝居くさいというか……)
などと、つぶやいていると、
それまでの間、ずっと、必死になって頭を回していた紅院が、
「――総員、退避!!」
そう叫んだ。
紅院美麗が、神話生物対策委員会の七代目リーダーという地位につかされた理由は三つある。
・神話狩りとして最強であり、
・危機感知能力が高く、
・判断力が優れているから。
「私が時間を稼ぐ!」
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