52話 脳死の流れ作業。
52話 脳死の流れ作業。
――翌日の避難訓練でも、何かしら、ウザったい難易度上昇がみられるのかと内心ビクビクしていたセンだったが、しかし、
(……神話生物が関わらない部分は、特に変化ないみたいだな……200人のテロリストが2万人のテロリストに膨張して、めちゃくちゃダルい……みたいな展開も予想していたが、拍子抜けだな。まあ、ぶっちゃけ、今の俺なら、200人だろうが、2万人だろうが、あんまり関係ないしな。秒で終わる仕事が、分で終わる仕事に変わるだけ。大した違いじゃねぇ)
超高速で、サクっと200人を殲滅したセン。
『200名のテロリスト全員が、ほとんど完全に同じタイミングで気絶した』
という、その異常極まるニュースは、一瞬で校内を駆け巡る。
教師連中は、この謎現象に狼狽うろたえ、あわてふためいているが、
生徒たちは『避難訓練よりもよっぽど面白いイベント』として楽しんでいた。
『――お見事。噂以上の、素晴らしい実力だ。正直言って、ナメていた。君があまりにも神速すぎて、現状だと、君が誰か特定するのは難しい。しかし、今回の一件で、君が想像を絶する超人であると理解できた。君が真なる救世主たらんことを、私は強く祈っている』
センにしか聞こえないスピーカーの音声はそこで切れた。
いまだ、事件の余韻でワーキャーやかましい教室の隅で独り、
センは天井を見つめながら、
(難易度爆上げスイッチを押してしまった以上、このまま終わるとは思えない……さて、どの角度から、どんないやがらせが飛んでくる?)
と、身構えていたセン。
しかし、夜になって、アイテム探索を開始してからも、
とくに、何かしらのいやがらせが飛んでくることもなく、
その日はたんたんと終了した。
「なんもないんかい!」
と、つい、大声で叫んでしまったが、
しかし、体を休めることができたので、
心情的には、普通に嬉しかった。
まあ、体を休めた、とは言っても、
夜通し、アイテム探索をしていたので、
普通に心身は疲弊しているわけだが、
連日の、『アウターゴッド級にまで強くなったGOO討伐』がキツすぎたせいで、
いろいろとバグってしまったセンにとって、
『夜中の学校を駆けずり回ってアイテムを探索する』という程度の苦行は、
もはや、休憩に値する楽な脳死作業でしかなかった。
★
翌日の『武道大会』でも、
特に、何かしらのいやがらせが発動することはなかった。
普通に、試合が進んでいく。
無駄なあがきだとは思いつつも、
『偶然』を装いつつ勝ち上がっていくセン。
一回戦・二回戦までは、周りの反応もおとなしかったが、
三回戦で佐田倉に勝利したところで、
やはり、『とんでもないミステリアスダークホースがいる』という流れになっていき、
四回戦が始まるころには、
「閃くーん、がんばってー」
『濃いめのエースガールズ』から、
非常になれなれしい『黄色い声援』を受けるまでに至った。
(……どうあがいても無理だな。『勝ち方』なんか一ミリも関係ねぇ。あいつらにとって重要なのは、『勝ち上がった』という事実だけ……はぁ)
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