30話 ロギアネーム。


 30話 ロギアネーム。


(……ぁ、あかんな……完全なロックがかかっとる……なんで、このロギアネームとかいう『特殊な名前に関しての情報』だけ、こんなにも警備が厳重なんや……)


 結局、突破することはできなかった。


 とはいえ、これだけ奮闘したので、

 もちろん、成果ゼロというわけではない。


 トウシのえげつない奮闘によって、

 ロギアネームという概念に関して、

 最低限の情報を奪取することはできた。


 ロギアネームは、簡単に言えば、

 『偉業を為した者の名前』。

 その尊き名前は、世界に登録され、特別な価値を持つようになる。


(ようするに、『コスモゾーンに名前をおぼえてもらった』と言うこと……『その名前を持つにふさわしい』と認められた場合、『正式に、その名前を名乗れる権利』と『その名前を持つ者特有のスキルが使えるようになる』……つまりは、『入手するのが異常に大変なパッシブ効果』……結局のところは、そんだけの話……別に、深い情報はいらんかった……ぁ、いや……)


 概念を整理していくトウシ。

 その結果、中心の『勘』が叫ぶ。


「……違うな……」


 何がどうと説明することはできない。

 ここに関しては推察の結果ではない。


 ――もちろん、

 異次元同一領域に、

 過剰なほどのメモリが裂かれている、

 という理由はある。


 しかし、それ以外の、

 『なぜか、とても重要な気がする』という、

 完全なる『勘』の方が、

 今のトウシの心をザワつかせている一番の理由。


(インスピレーションだけで行動指針を決めるんは、個人的な流儀に反するところやけど……自分のルールでがんじがらめになって動けんようになるほうが、よっぽどマヌケやということも分かっとる……時には、直観に頼るんも重要……ロジックだけで世界は構築されとらん……)


 そう決断を下すと、

 トウシは、


「ロギアネームに関する情報は、いったん置いておいて……異次元同一領域のログを解析することにシフト……こっちはこっちで、いくつか制限をくらっとるっぽいけど、重要なところだけを抜き出すだけなら出来んことはないはず」


 直感だけの行動指針に従って、

 前へ、前へと、進んでいく。


 その結果、たどりついたのは、




「……黒木愛美……こいつが、おそらく、重要なカギ……ソンキー・ウルギ・アースにかんする、何かしらの情報を持っとる……はず……」




 完全にそうだと言い切れるだけのヒントを回収することはできなかった。

 コスモゾーンに遺されている異次元同一領域のログは、

 禁則事項が過剰に多すぎた。


 とはいえ、トウシの頭脳なら、

 虫食い状態だろうが、情報不足だろうが、

 関係なく、カギにたどり着くことができる。

 彼の頭脳は、間違いなくキ〇ガイの領域にあった。


「黒木に関する情報にも、いくつか制限がかかっとる……この制限を突破するための解析ソフトを……創ったところで無駄なんやろうなぁ……どうやら、禁則の壁を創る領域は、また別の区域っぽいし……そこを見つけるのには……どんだけ頑張っても、おそらく、数年単位で必要やろう……はぁぁ……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る