最終回 鮮やかに舞い散った。
最終回 鮮やかに舞い散った。
「――神速閃拳――」
永遠のスキをついた一撃。
無限が頭をかすめる剛健さ。
センは、一度、胸の前で手を合わせる。
――センは、祈(いの)らない。
目の前の現実だけが全部になる。
ただ純粋に心をこめた。
たおやかな真心と一つになる。
すべてが一致していく。
極限の調和。
すべてが一つに整っていく。
そんな『時(とき)のおさまり』の中で、
センは、この上なく尊い光に包まれる。
「――龍閃」
充実していた、すべてが。
「崩拳――」
叩き込まれた拳。
オメガの全部が逆流していく。
逆気が高鳴って、『命のすべて』を震わしていった。
血と肉が、皮の中で暴れ散らして、
全部が、バラバラになって、
だから、
「――げふっ――」
最後には、深い血を吐いた。
真っ白になりそうな意識をどうにか、ギリギリのところで保って、
「……守ってくれよ……頼むから……」
最後の最後に、
その言葉を残すと、
オメガは、
「――ああ、長かったなぁ――」
そのまま、
パァァァァァァァァンッッ!!
と、弾けるようにして、
世界に溶けていった。
チラチラと、粒子の破片が世界に飛び散った。
ゆらゆらと、一度、世界をただよってから、
小さな竜巻みたいに、コンパクトな渦をまいて、
センの手の中におさまっていく。
バラバラになったオメガの粒子は、
『歪なカギ』となり、センの所有物となった。
手の中のカギを見つめながら、
センは、ボソっと、
「……俺は……」
かみしめるように、
「……頑張った……」
そう言葉を紡ぐと、
センの視界が、
スゥっと白くなっていく。
たどりついた修羅の華。
調和された世界が聖地され、
命の破片が、まるで神様のジグソーパズルみたいにカチリとはまる。
こうして、ありえないほどの長い時間を積んで、
センは、未来に辿り着いた。
託された無数の『タスキ』でがんじがらめになりながら、
それでも、センは、迷わず、前を向いて歩きだす。
気まぐれにふいた風が、真っ白な世界をかけていった。
整い方を忘れた雲が、無邪気に重なって、日差しを薄く伸ばす。
まだ、完全に明るいけれど、いくつかの星が空でまたたく。
そこには、澄んだ輝きが、ボヤけながら、けれど確かにあったんだ。
長い、長い、長い、闘いだった。
ふいに、無数の思い出がこみあげてきた。
全部に愛しさを感じた。
同時に、儚さも覚える。
――最後だから、ほんのちょっぴり本音を――
命には、価値があったよ。
ちっぽけで、脆弱で、こころもとない、
ほんとうに、薄っぺらな価値だけれど、
『無価値ではない』と断言できた。
だから、センは、
――バイバイ――
途切れた無意識の中で、
世界を見渡しながら、
満面の笑顔で、そう言う事ができた。
――こうして、センのセレナーデは幕を閉じた。
――永い旅の終わりは、唐突で、呆気なくて、けれど、それなりに綺麗だった。
少しだけ雑に、けれど、やっぱり美しく、
――鮮やかに舞い散った――
これは、そんな優しい閃光の物語。
めでたく、かんけつ。
これにて、ジエンド。
めでたし、めでたし。
ありがとう、セン。
――さようなら、何よりも勇敢で、誰よりも無敵だった、究極の神様――
―――――――
・あとがき
この長い作品をずっと読んでくださって、
本当にありがとうございます!!
高校センの物語はこれにて終わりになりますが、
近日中に、「中学セン」が、同級生の「極悪ヤンキー」と一緒に異世界転生をするという新作を投稿する予定です。
仮タイトル『金と人脈にモノを言わせてゲームのランキング上位を維持している極悪ヤンキー。そんな彼と一緒に転移してしまう主人公。このヤンキー、極悪クソ野郎ですが、超有能な上、異世界ではゲーム産の無敵チートを持つ化け物。そんな彼が、主人公の命令にだけは絶対服従の模様につき』
そちらの方も、読んでいただけたら嬉しいです(*´ω`)
タイトルはなかなかのアレですが、
内容は、だいぶ奇抜で、面白いですよ(*´▽`*)
悪役令嬢をすくい散らかす、日本の高校生に転生した最強神! ミリオン @ainzu12378
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