81話 狂信(共振)。


 81話 狂信(共振)。



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「――(――【【ヒーロー見参】】――)――」

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 セリフにオプションを背負わせて、

 無限の覚悟を世界に刻み込む。


 結局のところ、それはただの言葉。

 けれど、信念がなければ口に出来ない狂気。


 深淵に刻まれた信念が、

 世界の中心で統合されていく。


 センエースが磨き上げてきた全部が、

 一つの器に整えられていく。


 プラチナムと、

 GOOと、

 アウターゴッドと、

 携帯ドラゴン『バギー』と、

 そして、図虚空。


 すべてが一度ゴチャ混ぜになって、

 そして、調和されていく。

 互いが互いを支え合う『一つ』に昇華されていく。


 ――気づいた時、

 センは、虹色に輝く鎧をまとっていた。






「――真・究極超神化7。プライマルトランスフォーム『廃する太陰』レベルアウターゴッド/ルナティックレゾナンス。……これが、今の俺に出来る全部」






 すべてが神々しい姿。

 世界を包み込むような両翼。

 研ぎ澄まされた白銀をベースに、

 艶やかな翡翠(ひすい)と、

 豪然たる深紅と、

 繊細なる金紫が、

 美しく聖地されている。


 その様を見て、

 オメガは、


「完全なる共振と共鳴……『オメガ無矛盾のカオス』を超えたのか……」


 ボソっと、そうつぶやき、


「……超えられないと……思っていた……さすがに……そこだけは……」


 ギュっと奥歯をかみしめた。

 言葉の出し方を、一度、見失ってから、

 オメガは、


「……すぅ……はぁ……」


 少し長めの深呼吸をはさんで、


「…………認めたくはない……けれど……ほんとうはイヤだけれど……ソレを見せつけられてしまえば……まあ、認めるしかないわなぁ……」


 泣き顔のような、笑っているかのような、

 晴れやかなような、複雑なような、

 絶対的に、一言では言い表せられない顔を、

 世界に見せつけてから、

 オメガは、静かに武を構えて、



「……たくしたぞ」



 最後に、そう言うと、

 心を込めて拳を握りしめた。


 オメガの全部で、

 センに対峙する。

 命を沸騰させて、

 全部を投入する。


 空間が、ねじれて、ゆがんで、

 剣の翼が、たがいの視界をおおいつくす。


 対処しきれるワケがない刃の嵐。

 無限を想起させる風が吹く。

 気づいた時には、

 剣の翼が幾重(いくえ)にも織りなして、

 まるで、出来のいいプラネタリウムみたいに、

 清廉(せいれん)な火花が、あちこちに散って、

 むき出しの光たちが、

 神様の協奏曲を紡いでいた。



「――神速閃拳――」



 永遠のスキをついた一撃。

 無限が頭をかすめる剛健さ。


 バチバチと危ない音だけが世界を支配する。


 両者とも、ところせましと次元を駆け抜けて、

 『歪みの強い命の器』で殴り合う。


 拳が次元に弾けて混ざる。

 研ぎ澄まされた清廉な命がグルグルと渦巻いて、

 あっちこっちで、不調法な火花が咲き誇る。


 流麗な花火で、空間の隙間を満たす。

 荒々しいエネルギーが跋扈(ばっこ)して、

 ヤクザな魔力が、ワガママにまかりとおる。


 楔(くさび)形の激流で、

 偏差値100の趨勢(すうせい)を探ってく。


 まるで、独占欲の修練。

 端厳(たんげん)な哀願が熔けていく。


 薄志を恥じながら、

 命の螺旋と相成って、

 溺愛された折り合いの流儀が、

 濡れ紙をはがすように、

 したたかな膏血(こうけつ)を絞り取る。


 流線型の輝く翼たちが、威儀を正して、

 『スポットライトを浴びた空』を正確に薙(な)いでいく。




 ほんの一瞬だけ、

 けれど、確かに、


 ――『すべてが整った瞬間』に届いた気がした。


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