68話 暴走金髪ツインテール。
68話 暴走金髪ツインテール。
「この世界の全てをプレゼントさせてもらおうやないか!」
トコは、目をキラキラと輝かせて、
「金品だけやない。地位も名誉も、いや、それだけやなく、履歴さえも、すべてが最高峰となる! 仮に、あんたの成績表に、『優』以外をつけるアホ教師がおったら、あたしが、そのアホの前歯をヘシ折ったる。たとえ、それが、アゲセンでも許さん!」
「そこの暴走金髪ツインテール、ちょっと話を聞け!」
センは、全力で怒鳴りつけてから、
「いらん! 全部いらん! というか、逆だ! やめろ! なにもするな! なんだったら、俺のことはシカトしろ!」
と、そこで茶柱が、
「やれやれ、トコてぃんは、センセーのことを、何もわかっていないにゃぁ」
何度かゆっくりと首を横にふりながら、
「センセーは、そういうのは求めていないにゃ」
「いいぞ、茶柱! さすが、お前は、俺を理解している! やはり、お前となら、いろいろと、うまくやっていけそうだ!」
「ドMのセンセーが望んでいるものは、金品や名誉ではなく、借金や恥辱にゃ」
「は? ぁ、いや、マイナスは求めていな――」
「というわけで、センセーには、この借用書をプレゼントするにゃ」
そう言いながら、
茶柱は、携帯ドラゴンを呼び出した。
呼び出されたメギドは、
ペっと一枚の紙を吐き出す。
その紙には、
――借入金額 金100000000000615円 也
上記金額を借用しました。
私は社会のゴミです。卑しいブタです。
と書かれている。
「さあ、センセー、ここにサインを――」
「マイナスはいらんっつっとろうが!! つぅか、なんだ、この金額! いち、じゅう、ひゃく……100兆円?! 列強の国家予算じゃねぇか! あと、この615円っていう、奇妙な端数は何だ?!」
「借用書そのものの代金だにゃ」
「どういうガメつさ?! それ、どういうガメつさ?!!」
「1円を笑う者は、1円に泣くというガメつさだにゃ」
といいながら、茶柱は、ポケットから取り出した万札で、
サササっと額の汗を拭くと、
その万札を雑にくしゃくしゃっとして、その辺に放り捨てた。
それを見たセンは、
『ツッコむのもメンドくせぇ』とでも言いたげな、
とてもしぶい顔で、
「……1万円が泣いているぞ」
と、切り込んだのだが、
しかし、茶柱はシレっと、
「何をアホなことを……金は泣かないにゃ」
「いや、まあ、うん……そうなんだけど……」
苦々しい顔で天を仰ぐセン。
――と、そこで、黒木が、渋い顔で、
「あの、話が進まないので、ツミカさんは少し黙ってくれますか? あと、トコさんも、少し黙ってください。冷静に、正確に、閃さんの要求を聞きましょう」
その発言を受けて、
センは、
「さすが、K5随一の常識人『黒木愛美』! あんたがいてくれて本当に良かった! あんたのその正常さに感謝!」
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