80話 特別なシリーズコード。


 80話 特別なシリーズコード。


 ヘブンズキャノンという『プラチナスペシャルそのもの』の底上げを図れないか、トウシは画策した。

 その結果、トウシの頭脳は、真実に届く。



(――ヘブンズキャノンは不完全なプラチナ……必要なパーツが足りてない……)



 『運』に関する要素が、あまりに整っていなさすぎる。

 あえて例えるなら、ドローソースなしでエク〇ディアを求めるようなクソデッキ。


 これではダメだ。

 そもそものビルド構築の時点で不完全――というか、もはやただの欠陥商品。


(プラチナスペシャルを追加する必要がある……ソンキーの膨大な容量があれば、あと一つぐらい、無茶なスペシャルを積むことも可能……問題は、適合するかどうか……『スペシャル(特別個性)』は、なんでもかんでも積めばええというものやない……)


 相性というものがある。

 適合しないスペシャルは、無駄に要領をくうだけで、むしろマイナス。


(ソンキーの因子に適合する、ドローソース型のスペシャル……最適解は……っ)


 『スペシャル』に関する領域も、深い部分は、もちろん禁域になっている。

 トウシは、ソンキーに適合するコードを見つけ出すため、

 完全自力で、暗号を解くことを決意。


 もはや、鼻血は枯れて、血涙すらも熔けた。

 鼻の穴カッラカラ、

 眼球もカッサカサ、

 脳のライフはだいぶ前からゼロになっているが、

 しかし、それでも、トウシは、


(……ああ……しんどい、しんどい……つらい、つらい……)


 心の中で、泣き言をほざきつつも、


(ぐぅう……うぃいい……)


 歯を食いしばって、

 カギを求めつづける。


 膨大な暗算。

 脳のスペースが足りない。

 パンパンになって、今にも爆発しそう。


 けれど!

 それでも!



(……みつ……けた……っ)



 トウシの執念が、答えにたどり着く。

 ぶっちゃけ、最後は運頼りだった。

 どうしても見つからなかった暗号のカギを、

 経験と予測で埋め込んだ。


 ゆえに、ただの運ではない。

 決してあきらめなかった底意地が、運命を食い破った。


「……プラチナスペシャル『ラッキー・ニルヴァーナ』……」


 それは、『イカれた豪運』が味方してくれるようになるプラチナスペシャル。

 特別な『シリーズコード』で構築されているため、

 適合する者が極めて少なく、

 一般人では到底扱いきれない狂気のスペシャル。


 だが、


(……ソンキーとの適合率……99%以上……ソンキー、お前、持っとるな……お前の運命力……ハンパやない……)


「俺だけの運命力じゃない。お前のソレも含めた上での可能性だ」


(二人で一つの友情パワーで絆と信頼とチームワークがどうこうってか? きっしょいのう……ワシ、そういうの、趣味やないんやけど)


「奇遇だな。俺もだ。どうせなら、独りで全てに届きたかった。たった一つの最強。全てを置き去りにした孤高。けど、それを願えるほど、俺達は強くない……なら、他者をとことん利用して、おぞましい泥をすすってでも、がむしゃらに上へと這い上がっていくしかない」


(難儀な話や)


「まさしく」


 言葉を切って、

 二人は、魂を一致させる。

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