70話 命の壁。


 70話 命の壁。


 再生によって、ツァール&イグは、強大な力を手に入れたわけだが、

 しかし、喜悦や高揚感などは微塵もなく、

 ただただ震えていた。


 そんな二体に、

 トウシは、


「今のワシからすればザコやけど、お前らの数値はそこそこデカい。一応は、アウターゴッド級の力……ああ、楽しみや。『アウターゴッド二体を倒した経験値』の『104京倍』の経験値を手に入れたワシが、いったいどうなるか……」


 目の前に迫った夢の未来にワクワクしながら、

 トウシは、ツァールとイグを瞬殺してみせた。


 ツァールとイグは、粒子となって、

 一瞬だけ、世界を漂ってから、

 そのままの流れで、トウシの奥へと流れ込む。


 その結果、


「お……おぉ……うぉおおおっ」


 つい、声が出てしまった。

 感情がたかぶる。

 ドクドクと、全身が活性化していく。



000000000000000000000000000000000000000


 登録名 『エルメス』

 型番  『IS=GPQC/タイプJ1009‐GX2』


 《強化値》    【2108%】

 《容量》     【189000】


 [HP]     【3200%】

 [MP]     【3500%】


 「攻撃力」    【15200%】

 「魔法攻撃力」  【3700%】

 「防御力」    【2900%】

 「魔法防御力」  【1750%】

 「敏捷性」    【8800%】

 「耐性値」    【5000%】


 所有スキル、超多数。


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 ↓(ツァール&イグの経験値取得後)


000000000000000000000000000000000000000


 登録名 『エルメス』

 型番  『IS=GPQC/タイプJ1009‐GX2』


 《強化値》    【99999%】

 《容量》     【9999999】


 [HP]     【99999%】

 [MP]     【99999%】


 「攻撃力」    【99999%】

 「魔法攻撃力」  【99999%】

 「防御力」    【99999%】

 「魔法防御力」  【99999%】

 「敏捷性」    【99999%】

 「耐性値」    【99999%】


 所有スキル、超多数。


 111111111111111111111111111111111111111



 膨れ上がった自身の力を確認したトウシは、


(……かなり強くなった自覚はあるけど……思ったほどブッ飛んだワケやないな……常識的範囲内のカンストに収まっただけ……おそらく、『命の壁』の前まできてしもうた……『今のワシの限界』がここ……ここが、人間では超えられない壁……)


 凄まじく強くなって、高揚感もあるのだが、

 しかし、冷静に未来を演算し続けるトウシ。

 どんな時でも思考力を軸にできる稀有な男。


(……相当に強くなった自覚はあるけど、おそらく、最上位のアウターゴッドは、もっとエグい……このままでは足りん……)


 ありとあらゆる情報に触れてきたからこその予見。

 ただの疑心暗鬼ではなく、良質な質量を伴う未来予知。


(限界を殺す必要がある……ワシの成長を阻む『命の壁』を殺す……次は、そのための方法を探す……っ)



 ★



 翌日も、トウシは、

 天才たちの頭脳を借りて、

 莫大な演算に勤しんでいた。


(人間の限界値を定めるシステムは単一的やない……そもそもにして、人間という生命の構造に関しては、色々なシステムが複雑に絡み合って生成されとる……)


 となれば、一つのシステムに潜入するだけでは、限界を殺すことは不可能。


(コスモゾーンの禁域は、たった一つを破るだけでも莫大な時間と労力が必要……せやのに、『ワシを縛る限界』を殺そうと思えば、最低でも17以上のシステムの深部に食い込む必要がある……ぇ、えぐい……っ)

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