3話 グロすぎる下準備。
3話 グロすぎる下準備。
「この世界の『条件』は、バカニート世界のソレよりも上……という予感がヒシヒシとしているんだけど、その予感はあたっている?」
『クズニートだ。……って、俺に言わせるなよ』
「で、どうなんだ? 俺の予感は当たっている感じ?」
そんなセンの質問に対し、
天童は、ニュース原稿でも読み上げているかのように、
たんたんと、
『厨二迷宮の試行回数は俺の世界の試行回数を大幅に超えている。世界の強度は、そのままソルの強度にもつながる。この世界のソルは、クズニートのソルよりも上だ』
「……とりま『ラスボスの強さは、前回よりも上』と……ほんと、俺の人生は、つねにナイトメアマストダイだなぁ……全然、楽させてくれねぇ……はぁ……」
深いため息をつきつつ、
センは心の中で、
(つぅか、そもそも、ソルってナニモンだ? 勢いのまま殴り殺しただけだから、あいつがなんなのか、さっぱりわかってねぇんだけど……)
ちょっとだけ、ソルの正体について、
頭を悩ましてみたものの、
(まあ、ここでチンタラ考えていたところで、わかるわけねぇんだよなぁ……)
という当然すぎる結論に達したため、
センは、
左手に『銀の鍵』を一つ掴み、
右手に図虚空を召喚すると、
「……ふぅ……」
息を吐いてから、
魔力で止血準備をした上で、
ザクッと、後頭部を切り裂いた。
『うわ、グロ……何してんだ、お前……』
ドン引きしている天童をシカトして、
センは、銀の鍵を、自分の後頭部に埋め込むと、
オーラで自己治癒能力を極限まで高めて、裂かれた後頭部を元に戻す。
若干、後頭部が膨らんだが、
ゴワゴワかつ寝ぐせがついている髪の毛のおかげで、
大きく目立つというほどでもない。
「……これまでも、胸や腕や足には、銀の鍵を仕込んできたが……今回は、全部吹っ飛ばされた時のことを考えて、首から上にも銀の鍵を仕込んでおく。俺の人生は、難易度が高すぎて、どんだけ底意地の悪いことが起こるかわからねぇ。出来る準備は全部やっておく」
『狂気的だねぇ……』
★
――家を出て数分後のこと。
センは、無駄に大きな蒼い校門を抜けて、ポヤポヤとした桜の並木道をまっすぐに進んだ。
入学式から一週間しか経っていないので、センと同じ新入生たちの表情には、まだまだ、期待色がアリアリと滲み出ているが、二・三年の顔からは眠気とダルさしか窺えない。
校舎近くまで歩いた所で、二年生である事を示す『赤いネクタイ』を締めた女生徒二人が、センの横を抜けていきながら、
「――あ、銃崎先輩、発見。相変わらず、鬼美人すぎて引くわぁ」
「学年一位の才女で、かつ、あの美貌とか、反則だよねぇ」
二人の視線の先では、女子の嫉妬と、男子の羨望をごっそりと惹きつけている三年の女子が颯爽と歩いていた。
赤髪ショートが抜群に似合っている、スラっとした超イケメン系美女。
普通であれば、彼女に目がいくところだが、
しかし、センの視線は、別の人物を捉えていた。
ウワサの銃崎先輩とやらを睨んでいる男子生徒――才藤零児。
(才藤のやつ、あの銃崎とかいう女のことを、『とんでもない目』で睨んでいるな……完全に不審者だ。俺がただの一般市民だったら、全力で通報しているところだぞ)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます