51話 幾億年の付き合い。


 51話 幾億年の付き合い。


「つまり、センセーとツミカさんは、すでに、一生分の付き合いを経たと言っても過言ではないのにゃ」


「……ん、まあ、過言だね。清々しいほどに過言。ここまでシッカリとした過言はそうそうないってレベルの過言だね」


「ちなみに、『個人感覚』では、センセーと、20年ぐらい、一緒にいたような気がしているにゃ。もっと言うと、1万年くらい、一緒にいるような……もっというと、その100倍ぐらい、一緒にいたような気もしなくはないし、もっといえば、その何億倍も一緒にいたような気もしないではないにゃぁ」


「もし、そこまで長い時間を共に過ごしていたのであれば、さすがに、一生分の付き合いをしたと言っても過言ではないが、しかし、『個人感覚』などという、メッタメタに自由が過ぎるモノサシでモノを語るのは、あまりにも反則が過ぎるだろう。そんなことを言い出したら、何でもありになるだろうが」


 呆れ交じりにそうつぶやいた、

 その時、


 センの視界の隅で、

 次元に裂け目ができた。


 それを見て、センは、しんどそうな顔で、


「えぇ……このペースで沸くの? ウソだろ?」


 ダルそうに、そんなグチをこぼしていると、

 次元の裂け目から、

 小柄な『美少女』が出現した。


 その美少女は、ギロリと紅院たちを睨みつけてから、




「くはははは! やった! あたしはついに、神になる権利を得た! さあ、死ね、供物ども! 貴様らの死で、あたしは神となる!!」




 クソ生意気そうなツラをした、ギザギザ八重歯でゴシックカラーが特徴的な美少女。

 そんな彼女は、


「我が名はクティーラ・ヨグカスタム! 尊き神になるしかない者! さあ、我が足元にひれ伏し、こうべをたれて、命を差し出せ!」


 尊大な態度で、命の献上を要求してくる彼女に、

 センは、


「ずっと、このペースはウザいなぁ……」


 そうつぶやいてから、


「ちっ……まあいい。ぐだぐだ言っていても、しかたねぇ」


 ガタノトーアに視線を向けて、


「ガタノトーア、君に決めた」


「……は?」


 心底からの意味不明を全力で体現するガタノトーアに、

 センは、やれやれ顔で首を横に振りながら、


「察しの悪いやつだな。『君に決めた』ってトレーナーに言われたら、鳴き声を上げながら、敵に立ち向かうのが、ポ〇モンの役目だろ」


「……いや、知らんが」


「勉強の足りんやつだ。そんなことじゃ、俺の手持ちは務まらないぞ」


「努めたくないんだが? 不満があるなら、解放してほしい。恐怖からではなく、貴様自身から」


「それは不可能だ。俺は、思いのほか、お前のことが気に入っている。とりま、名前がいい。俺の中の厨二感にシックリとハマっている。というわけで、さあ、あのクソ生意気そうな美少女型ゴシックGOOに、『暴力』という名の絶対正義をおみまいしてこい」


「正義という言葉、嫌いなんだが?」


「奇遇だな。俺もだ。正義ってのは粋じゃねぇ。何がどう無粋なのか、その詳細は一ミリも説明できないし、そもそもにして、どうなったら粋って概念に到達するのか、サッパリ、皆目見当もつかないがな」

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