46話 死ね、クソ鈍感バカ野郎。

 46話 死ね、クソ鈍感バカ野郎。


「明日から、アイテム探索するから、手伝ってくれ」


「……」


「このナイフは、色々と勝手が違うっぽいから、携帯ドラゴンなしでもゲットできたが、他のアイテムは、携帯ドラゴンがないと、入手できないんだろ? 薬宮から聞いたよ。だから携帯ドラゴン要員として、俺の探索の手伝いをしてくれ。とりあえず、これから、毎晩。五時間くらいを目安に――」


「……叶える願いは一つだけよ」


「え? それって、継続系の願いはなしってこと? それはケチくさくないか? 今のところ、アイテム探索の手伝い以外は御呼びじゃないから、ここだけは、どうしても聞いてもらいたいんだが。もちろん、交渉には応じる……というか、いくらかは譲歩するつもりでいる。毎晩5時間がキツいってんなら、月一で休みをつけてもいい。もしくは、一日の探索時間を5時間から、4時間50分に短縮して――」


「全然、譲歩してないじゃない?! あんた、どこのブラック社長?! てか、そういうことじゃなくて!」


 茶柱は、歯をむき出しにして、


「……もう一回言うわよ? 私が、あんたの願いを叶えてあげるのは、後にも先にも、一回こっきり! わかる? たった一つだけなの! それを踏まえて、ちゃんと、お願いごとをしなさい!」


「……え? それって、もっとデカいお願いをしてもいいってこと?」


「どうとらえるかは自由だけど、とにかく、私は、たった一度だけ、あんたの願いを、何でも叶えてあげると言っている。なんでも、この私が、たった一つ! となれば、あんた的に、答えは一つでしょ?! 『命をかけて助けるほどの美少女』にお願いしたいことなんて、たった一つでしょ?! さあ、さっさと願いなさい」


「……じゃあ『毎晩10時間』にしていい? あと、それに付随するお願いとして、お前の家の権力を使って、俺達が、授業中に寝ていても大丈夫なようにしてくれ。『挙茂(あげも)』の授業の時はムリだろうが、他の先生を黙らせるぐらいは余裕だろ? そうすれば、昼の間に睡眠をとって、夜は全て探索にあてることが――」


「はぁぁああああ……」


「なんだよ、そのデカいため息は……お前が『もっと大きなお願いをしてもいい』って言ったんだろうが。ていうか、誤解するなよ? 別に、探索を頑張れって言っているわけじゃないぞ。お前は、携帯ドラゴンでサーチをしてくれればいいだけで、面倒なことは俺が――」




「死ね、クソ鈍感バカ野郎」




「……どんだけイヤなんだよ……いや、まあ、夜更かしは美容の大敵らしいから、美少女としては、イヤだろうけど……」


 センはため息をはさんで、


「じゃあ、もう、時間に関しては、あいている日に数時間程度でいいよ。毎日、声をかけるから、行ける日は、可能な限り、付き合ってくれ」


「……はぁああああああ……私、ほんと、こいつ、きらい……」


「そこまで嫌われたら、いっそ、すがすがしいよ」


「……ていうか、そんなこと、トコに頼めばいいじゃない。喜んで付き合ってくれるわよ」


「あいつに頼んだら、リーダーを押し付けられそうでイヤだ。あいつの、あのグイグイくる感じが、普通にメンドい。あいつの人間性に関しては『尊い』とすら思うが、あの、ゴリゴリに神輿(みこし)を担(かつ)いでくる感じが、すげぇしんどい」

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