4話 閃拳。


 4話 閃拳。


「お前、強すぎるぞ! いくらなんでも、カンツたちと、違いすぎる! 反則だ! こんなもん、聞いていない!」


「ジャクリナたちのぬるい神闘と、私の神闘を一緒にするな。私は、主上様から直々に武の道を照らされている身。環境の差は、戦力の決定的な差」


 そう言ってから、

 アダムは、オーラを練り上げて、


「神闘だけでも大きな差があるが、純粋な存在値の数値にも、大きな差がある。いつまでたっても、なかなか『超神』程度にすらなれないジャクリナたちの存在値は、『数千万そこそこ』が限度だが、『究極超神の向こう側』にたどり着いた私の存在値は、ゆうに『100兆』を超えている」


「ぴぇっ?!! ひゃ、ひゃく……え? なんて?」


 アダムの異常な『数字』に脳がパニックを起こしているセン。

 そんなセンに、アダムは、とうとうと、


「主上様の右腕を名乗っているのは伊達ではない。遥か高き御方の側仕えとして恥じない力を得るため、私は、日夜、精進し続けている。貴様のような、単なるパチモノとは、辿ってきた軌跡と、積み上げてきた覚悟が違うんだ。ナメるなよ」


 堂々とそう言い切ってから、

 アダムは、右手にガツンと心を込めて、

 センに対して、

 優雅に、



「――閃拳――」



 凶悪な正拳突きを叩き込んで見せた。


 アダムの拳をもろに受けたセンは、


「ぶへぁあああああっっ!」


 豪快に爆散してしまった。

 『命の終わり』――その明確な具現。


 だが、その爆散した血肉は、

 空中で、ギュギュギュっと、寄り集まり、


「ぶはぁあ!」


 完全再生を遂げる。

 驚異的な再生力を前に、

 アダムは、しかし、表情を一切崩さず、


「転生ではなく、超再生するタイプか……しかし、無限というわけではなさそうだな。すでに、疲れが見えてきている」


 アダムの見立てどおり、

 センは、


「はぁ……はぁ……」


 すでに、まあまあ疲弊していた。

 現状におけるセンは、

 『なぜか、とんでもない生命力をもっている』が、

 しかし、どうやら、無限というわけでもないらしい。


 息を切らしているセンに対して、

 アダムは、感情を感じさせないフラットな表情のまま、


「まあ、仮に無限だったとしても関係ないがな。仮にそうだったとしても、永遠に殺しつくしてやるだけの話。主上様のもとで、命の真理を探究してきた私の覚悟をナメるなよ」


「一ミリも……ナメてねぇよ……あまりのヤバさに、チビりそうになっているだけだ。正直、勘弁してほしい……普通に、勝てるわけねぇ……あんたは強すぎる」


 などと、直球の泣き言を口にするセンに、

 アダムは、フラットな表情で、


「そんなことをいいながら、どうせ、奇妙な覚醒で、無駄に強くなっていくのだろう? もうネタは割れている。貴様らパチモンの鬱陶しさは、重々承知している。私は詳しいんだ」


「なんで、あんたは、俺の底力を、そんな、無駄に過信してんの? 過剰評価も甚だしいんだよ。つぅか、きわめて実直な前提の話をするけど……あんたの強さレベルは『100兆』を超えてんだろ? じゃあ、無理じゃん。俺の強さレベルは6000なんだよ」


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