39話 金持ち同士のネットワーク。
39話 金持ち同士のネットワーク。
「……お前が、あのカスと同列のゴミカスであることを教えてくれてありがとう。ちなみに言っておくと、俺は、あのカスが80億人ぐらい束になってかかってきても、秒で殺せるぞ。俺は、お前らみたいな無能とは命の格が違うんだ」
別に、メナのヘイトを稼ぐ必要はないのだが、
『彼女たちから完璧なヘイトを集める』ために奮闘し続けた結果、
他者の目がある時は、常に、このスタイルを貫く、
という基盤が出来上がってしまっていた。
「俺は王として生まれた。だから、お前ら奴隷どもで優雅に遊ぶ。俺は俺の生きざまをやめることなどできない。以上だ。話は終わりか? なら、もういくぞ」
言い切ったセン。
そんな彼のクソっぷりに、あらためて怒りを覚えたメナは、
懐から取り出した革の手袋を両手にはめて、
「あんたが、『アルキ』をキズモノにしたという話も聞いている。最低だよ、あんた」
(あれなぁ……やめろって言ってんだけど、やめないんだよなぁ……毎回、毎回、『これが一番効率がいいと思います』とかなんとかいいながら、ナイフで腕に、俺の名前を刻みやがる……勘弁してほしいぜ……)
「……アルキは泣いていたよ。あんたが、どんだけ酷いやつか、涙ながらに教えてくれた」
(まあ、そうやって、広めてくれないと、なんの意味もないからな)
「……自分がそんな目にあっていながら、あの子は、私のことを心配してくれた。私に被害が及んだらいやだから、絶対に、閃壱番に関わるなって」
(……そこには、心配以外の、なにか、別の意図も感じるが……)
「あの子を逃がす方法を考えたけど、あの子は、頑として『自分一人がオモチャになるだけで、他の人が傷つかないですむのなら』なんて言っていた……許せないよ……ほんとに……他人に対して、こんなに怒りを覚えたのは……はじめてだ」
(いやぁ、しかし、金持ち同士のネットワークは広いねぇ……もしかして、一等の人間って、全員、顔見知りなのか?)
などと、呑気な事を考えていると、
メナが、グっと武を構えた。
それを見て、センは、語気を強めて、
「言っておくが、かかってくるなら、殺すぞ」
「無理。あんたでは私に勝てない。仮に、私を殺せる力をもっていたとしても……刺し違えてでも、あんたを殺す。あんたは生きていない方がいい」
『センが神話生物を殺している』という話は聞いているが、
メナ程度が得ている情報だと、
『どれだけ、センが大事であるか』という点には届かない。
300人委員会の中枢にいる存在でも、『センがどれだけ凄いのか』を理解している者は少ないのだから当然といえば当然。
メナの中では、
センなど『K5よりは強い』という程度の認識しかない。
携帯ドラゴンのことは知っているが、
『神話生物という特殊な化け物を殺せる武器』
程度の認識しかしていない。
――ゆえに、彼女は突撃する。
自分の中の正義を遂行するために。
本気でセンを殺すつもりで特攻をしかけた。
柔術とレスリングという、組み技の方面で高い才能を持つメナは、
とにかく、センの首に組み付き、
完璧なムーブで、センの頸椎を損傷させて絶命させようとする。
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