45話 俺は孤高。最初から独歩。


 45話 俺は孤高。最初から独歩。


(これまで、貴様は、あの女どもに嫌われてこそいたが、しかし、同時に、感謝もされていた。ある意味で、強く愛されていた。『ダメ男ほどかわいい理論』も、わずかに働いていた。しかし、ここから先、貴様は完全に孤独。世界を救い続けても、誰にも理解されない。まるで、装置のように、たんたんと世界を救い続ける。その孤独に、はたして、貴様は耐えられるかな?)


 そんなヨグシャドーの言葉を、

 センは、


「笑止っ!」


 鼻で笑って、


「これだけ長いこと一緒にいて、まだ俺を理解していないのか? 俺は孤高。最初から独歩。この状況はむしろ僥倖。はじめて、俺にとって有利なマイロード!」


(……)


「さあ、テンションが上がってきたぞ! ここから、俺は、もっと磨かれる! 鬱陶しい面倒事をシカトして、ただひたすらに強く、強く、強く!」



 ★



 メタルロイガーを倒したセンは、

 その夜、覚醒ロイガーもシッカリと排除する。


 センは、これまで通り、

 K5を救った形になるのだが、

 しかし、彼女たちは、センの存在に気付かない。

 『いしころぼ○し』とはよく言ったもので、

 センの存在が、まったく認知されていない。


 『目の前で急にロイガーが死んだこと』に対して、

 彼女たちは、無垢な疑問を抱くばかりで、

 『実際のところ何が起こったのか』はさっぱり理解していない。


 彼女たちの視点では、

 『突如、ロイガーが爆散した』。

 以上。


 その状況を尻目に、

 センは、


「これはいい。最高の状況だ」


 ホクホク顔で、彼女たちの横をすり抜け、アイテム探索をはじめるセン。

 誰にも邪魔されず自由に、センは強くなることだけに集中する。



 ――翌日も、朝っぱらから、メタルな化け物が登場した。

 メタルウムルも、メタルロイガーと同じで、

 少々硬いが、そこまでズバ抜けて強いというわけではなかった。


 ちなみに、さすが『メタル』の冠をつけているだけあって、

 メタルウムルは、『センエースエンジン搭載型ウムル』より経験値が上だった。


 当然、夜には、普通に『センエースエンジン搭載型ウムル』とも闘う。


 翌日の朝は、メタルツァール&メタルイグ。

 夜は普通の覚醒ツァール&イグと闘い、


 ――そして翌日。

 また、朝っぱらからメタルが出現した。

 今回は、メタルロイガー。


「またメタルロイガーかよ。初日と同じじゃねぇか。……なんだか『一周回った』って感じがするな……てか、メタルロイガーの相手をしていたら、俺、避難訓練に参加できなくねぇ?」


 というセンの問いに、

 ヨグシャドーは、


(このルート内においては、フラグ立てに参加しなくとも、剣翼は舞わない)


「あ、マジで? ありがたっ!」


 歓喜を叫ぶセン。

 そこから先、センは、面倒な作業を全てシカトして、

 ひたすらに敵と戦うことに没頭した。


 その夜には、また、メタルロイガーが登場。


 翌日は、メタルウムルが朝晩で二体。


 その翌日はメタルツァール&イグが朝晩で二体。



 一通り『修行僧スイッチを押したバージョンの一週間』を経験したセンは、


「これはめちゃめちゃしんどいが……相当に経験値を稼げるな……」


 ニィと力強い笑みで、そうつぶやいた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る