18話 学級委員長の親玉。
18話 学級委員長の親玉。
『絶対的権力者』が、『絶対にゆるぎないポジション』から、
『絶対的な高潔さ』でもって世界を支配する。
――幸せなことだった。
――良識ある大多数の人間にとっては。
くだらない利権争いで世界が穢れることはなくなった。
その手の醜さが『完全なるゼロ』になったわけではないが、
『トップ』がシッカリしているので、
腐敗が蔓延することはなかった。
――『人の醜さ』は『今』でもある。
災害や汚職や事件やテロやイジメがなくなったわけではない。
――しかし、自殺者の数は間違いなく減った。
世界の不条理を嘆いて死を選ぶ者は少なくなった。
ゼロではない。
けれど、確実に減った。
時間が重なるにつれて、センエースを、単なる『神輿(みこし)』や『対神話生物用の兵器』としてとらえる者の数の方が少なくなった。
最初、一部の賢者は、この世界が『センエース教に支配されたディストピア』になることを恐れたが、しかし、他でもないセンエース自身がそれを拒絶したため、典型的な反自由社会にはならなかった。
――もちろん、窮屈になった部分もある。
これまでとは比べ物にならないぐらい、
法が厳格化されて、『犯罪』に対する『あたり』が非常に強くなった。
『過失の違反』は、ほとんどこれまで通りだが、
『故意の悪意』には、強い厳罰が求められることが増えた。
一例をあげると、
一時停止違反で切符を切られるのはこれまで通りだが、
暴走行為・煽り運転・飲酒運転の罪が倍以上に重くなった。
他にも、例えば、
いわゆる上級国民と言われるような『権威を持つ者』の失態が隠ぺいされたり、不当に刑が軽くなったり、ということはなくなった。
その手の隠ぺい工作がバレた場合、300人委員会から、えげつないほどの厳罰をくらうようになったからである。
センをトップに据えた『新生300人委員会』は、世の不条理を絶対に許さない。
いつでも、目をギラギラに光らせて、世界を監視している。
なぜか。
絶対に逆らってはいけないトップに、ソレを命じられているから。
王が『王で在り続けること』を認めた日、
王は、300人委員会の幹部を集めて、こういった。
「もう、しゃーねぇから、お前らの望み通り、学級委員長の親玉をやってやるよ。ただし、言っておくが、俺をトップにするなら、めちゃくちゃ面倒になることを覚悟しろよ。俺に厄介事をおしつけて、自分達は甘い汁を吸おうなんて、そんなナメたマネを俺が許すと絶対に思うな。もし、この世界が腐敗した場合、お前らの失態とみなす。『俺がトップなんだから、俺の責任だろう』などと、ナメたことをぬかすやつがもしいるなら前にでろ。利き腕切り飛ばしてやるから。いないな? よし、では続きだ。俺の責任は、『何か問題が起きた時に辞任すること』ではなく、『何か問題が起きた時、適切に対処すること』だ。俺はこう見えて、そこそこ責任感が強い。やると決めたら、徹底的にやる。腐敗は完膚なきまでに排泄しろ」
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