33話 勝率0%。


 33話 勝率0%。


(……異次元砲ですら無傷とか、そんなんアリかよ……ここまでくると、どういうシステムなのか……さっぱり分からんな……マジで、完全無敵とは言われたら、お手上げなんだが……)


 センは、無敵システムの詳細を理解しようと、

 多角的に頭を働かせる。


 しかし、元々の出来があまりよろしくないので、

 どれだけ必死になって考えてみても、

 ヒントの一つも見つかりやしない。


(俺、『バトル物の主役』ぐらいだったら、なんとか遂行できるかもしれんけど、『推理モノの主役』は絶対にできないな……)


 どうでもいいことを考えつつも、

 脳の一部では、無敵バリアの攻略法を必死になって考えている。


 ――そんなセンに、

 ミスターZが、


『……ありえない強さ……』


 ボソっと、そうつぶやいた。


『戦闘力もそうだが、なんだ、この異次元のメンタル……貴様は芯が太すぎる……』


「メンタルの強さを魅せつけた覚えはないんだが?」


『……貴様のレコードの一部を盗み見させてもらった。貴様はおかしい。あまりにも、人の領域を逸脱しすぎている』


「人の黒歴史を勝手にのぞき見できるとか、お前、全国の元厨二病患者の天敵といえるな」


 などと、どうでもいいことを言いつつも、

 センは、すべての手札を切って、

 どうにか、ミスターZの無敵バリアをぶちやぶろうとするが、


「えー、マジで、なんも効かなーい。ウソやろ、ありえへんで、しかし!」


 つい、下手なナマリで天を仰いでしまうくらい、

 センは、ミスターZの無敵バリアに辟易する。


 そんなセンを尻目に、

 ミスターZは、まるで、『程度の低い人間』のように辟易している。


『ぐ……不可能。今のスペックで、センエースの対処は出来ない。絶対不可能』


 そうそうに、センの自力対処を諦めるミスターZ。


『アカシックレコードにローラー。可能性のカケラを回収する』


 動きを止めて、

 プランをねることに集中しだしたミスターZ。


『コピー系を用いたプラン……勝率0%。戦力をコピーするだけでは、センエースには敵わない。むしろ、極限状況下を打破するための覚醒が引きおこる確率の方が高い』


 ぶつぶつと、


『強奪系を用いたプラン……勝率0%。記憶と力を奪うにしても限度がある。限界まで奪ったところで、センエースには敵わない。新鮮な経験値を与えるだけになる』


 次々と、

 プランだけは量産されるのだが、

 しかし、そのどれもが勝率0%。


 センエースを相手に、生半可なプランなど通じるはずもなし。



『センエースを排除しなければ、母上の望みは絶対に叶わない。だが、センエースには敵わない』



 真理を理解したAIは、

 だからこそ、次のステージを求める。


『絶対に勝てない存在などありえない。真理に反する。あるはずだ。センエースに勝利する方法』


 熱が満ちて。

 臨界点をこえる。


 演算の最果て。

 計算式の向こう側。



『アカシックレコードの禁域に踏み込む必要がある。カギは持っている。真理の迷宮をクリアした実績をカギにする。母上の権利を行使し、真理の向こう側を手に入れる』



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