88話 封印。
88話 封印。
「閃拳」
センは、アリアに対して、アホほど愚直な正拳突きで応戦する。
なんの策もない、ただ気合を入れただけの拳。
しかし、それが重い。
速くて、力強い。
踏み込み速度が豪速すぎてとらえられない。
拳の圧力だけで、世界の全部が吹き飛びそう。
「がっああああっっ!!」
モロに『腹部の直撃』をくらったアリアは、
豪快に吹っ飛んで、『この特殊空間を仕切っている壁』に激突する。
噴水のような血を吐く彼女に、
センは、情け容赦なく追撃を入れていく。
「究極超神化7……その変身は、おそらく、もっと、すごくて、もっと怖い」
感想を述べながら、
アリアの全身に神速閃拳のラッシュをぶち込んでいく。
「あんたの『7』は怖くねぇ。積み重ねが足りねぇ。『重さを感じない』とまでは言わないが、本来の輝きには達していない……そんな風に思う。『お前、究極超神化7のナニ知ってんねん』とツッコミをいれられた時、正直、ぐうの音も出ないんだが……しかし、本気でそう思うんだから仕方ねぇ」
軽いファントムトークでお茶を濁しつつ、
「お前の重さは、俺の狂気に達していない。あと、もう三段階ぐらいパワーアップ変身しないと、俺には届かないぜ。さて、どうする?」
「ぐっ……ぅ……し、信じられない戦闘力……ありえない……究極超神化7を使っているのに……歯がたたないなんて……」
「俺も驚いているよ。そんなインフレ大爆発みたいな変身技を使ってくる相手をも叩き潰せるほど強くなったことに関して、正直、自分で自分に引いている。改めて考えると、俺は、ほんと、全部がおかしい」
本音を口にするセン。
ファントムトークっぽく見える発言だが、
しかし、その実、ただの本音。
今のセンは、自分に対して、普通に引いている。
「ま、俺がおかしいということを再認識したところで一歩も前に進めやしないから、自分自身に対する感想は、この辺でやめておこう。それより、どうだ? 『パワーアップ変身』はまだ残っているか? もし、次世代覚醒技の『究極超神化8』が使えそうなら、遠慮なく使ってくれ。7の先が、まだあるなら、普通に見てみたい」
「はぁ……はぁ……」
アリアは、口から血を流しながら、
そこで、
「……溜まった……」
ボソっと、そうつぶやいて、
「これだけ溜めれば……さすがに十分……」
ニィと笑って、
「――EZZパニッシャー」
センに向かって、
封印系の魔法を放った。
「おっと……動きを封じる系の魔法かな? そういう系の魔法は、強化GOOたちが山ほど使ってきたから、抜けるのは結構得意なんだよねぇ」
といいつつ、
アリアのEZZパニッシャーを解除しようとするセン。
だが、
「ん? なんだ、これ……めちゃめちゃ、粘り気が強い……からみつく……う、うぜぇ……えっ……あれぇえ?! 抜けられないんですけどぉ?!」
「……実際のところ、私はさほど強くないし、私の究極超神化7は不完全。けれど、さすがに、究極超神化7を使っていながら、手も足も出ないなんてことはありえない」
「ぇ」
「パワーやスピードではなく、封印魔法の方にリソースの大半をつぎ込ませてもらった。あなたを確実に捕縛するために」
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