17話 茶柱さんは、自分勝手。
17話 茶柱さんは、自分勝手。
「今のはヤムチャの分! そして、これは、チャオズの分にゃ!」
「ナッパに言え! 俺は、チャオズにもヤムチャにも、なんもしとらん!」
茶柱の横暴に対し、
とにかくしんどそうな顔をしているセン。
そんなセンに、茶柱は、さらなる横暴を重ねていく。
「センセーは、優先順位を間違えてはいけにゃい!」
「……はぁ?」
「まず、ツミカさん! 次に、他3名。この順番だけは、絶対に間違えてはいけないのにゃ。あと、割合も大事にゃ。ツミカさんに95%を投入し、トコてぃんに2パーセント、ミレーてぃんに2パーセント、マナてぃんに1パーセント。その割合で想いを向けないといけないのにゃ」
その発言に対し、
センが、思うところをぶつけるよりも先に、
黒木が、
「あの、ツミカさん。なんで、私の割合だけ、ナチュラルに最低の1パーセントなんですか? 『あなただけが90%をこえていて、私たちは一桁』という理不尽以上に、その『無駄に繊細な差別』に対して、正直、今の私は、かなり、イラだっております。その辺、納得できるよう、説明していただけますか?」
「ふぅ、やれやれ。いいですか、黒木さん、1パーセントというのは、とても重要な数字なのです。エジソンも言っていたでしょう? 1パーセントの才能と、99%の努力が大事だって。つまりはそういうことなのです」
「さっぱり、意味がわかりませんが?」
「そりゃ、意味なんて込めてないから、当然にゃ」
「ブチ殺しますよ?」
「怖いにゃ、センセー、助けてっ」
などと言いながら、センの腕に絡みつく茶柱。
それを見て、それまでおとなしくしていた紅院が、
茶柱の首根っこを引っ張り上げて、
「あんたは、どうして、そんなに自分勝手なの?!」
普通にイライラしながら、そう叫んだ紅院に、
茶柱は、
「ツミカさんは、自分勝手なんかじゃないにゃ! ただ、自分に素直なだけだにゃ! センセーのものは、ツミカさんのもの! ツミカさんのものは、ツミカさんのものにゃ!」
「なんで、そこで、唐突に、シュールジャイアニズムを俺に叩き込んできた? 俺のものは、別にお前のものではないが?」
「センセーのものはすべてツミカさんのもの! つまり、センセーの苦悩も悲痛も、すべて、ツミカさんのもの!」
「急にエモいこと言ってんじゃねぇよ」
「今のけなげなセリフ、ツミカさん的にポイント高い!」
「俺的にも、そこそこポイントは高いよ。……本気で言っていればの話だが」
「もちろん、本気にゃ! センセーが背負っている負債は、全部、ツミカさんのもの!」
「そうか、じゃあ、ちょっと悪いんだけど、今の俺、めちゃめちゃ大変な目にあっているから、それを肩代わりしてくれない?」
「もちろんにゃ! さあ、みごと、センセーの苦悩を縛り上げてごらんにいれるから、その屏風(びょうぶ)から、苦悩を外に出してくれるかにゃ?」
「誰がトンチを見せろと言った?」
その後も、学校につくまでの間、
ワーワーキャキャーと、
彼女たちの猛口撃は続いた。
(登校だけで、体力の大半をもっていかれてしまった……これだからイヤなんだよ、孤高以外のルートを通るのは……)
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